不動産に投資する方法として必ずしも実物の不動産を購入する必要はありません。不動産投資信託(REIT)と呼ばれる有価証券を購入することで間接的に不動産に投資することができます。今回は、不動産投資信託(REIT)の特徴とその概要をお伝えします。
不動産投資信託(REIT)とは?
不動産投資信託(REIT)とは、複数の投資家から資金を集めて不動産に投資を行う投資商品で、アルファベット表記でREIT(リート)とも呼ばれます。
REITは、Real Estate Investment Trustの略です。一般に、日本国内の不動産に投資する不動産投資信託を「J-REIT」と呼ばれます。
不動産投資信託(REIT)は、証券取引所に上場しており、証券会社を通じて株を同じ感覚で購入できます。また、投資した不動産から得られた賃料などの収益を分配金として受け取れます。
不動産投資信託の特徴
不動産投資信託(REIT)の特徴としては、主に4つの特徴があります。
証券取引所を通じて売買可能
不動産投資信託(REIT)は、株と同様に証券取引所に上場しており、銘柄一つ一つに証券コードが付与されています。そのため、株を購入するのと同じ感覚で証券会社を通じて売買することができます。
国内の証券取引所に上場している不動産投資信託(REIT)は、2018年5月時点で59銘柄存在します。代表的な銘柄を3つ紹介します。
オリックス不動産投資法人(証券コード:8954)
オリックスグループの不動産投資会社で、国内のオフィスや住居、商業施設を中心に運用。2018年5月時点での保有物件数は110棟。
日本ビルファンド投資法人(証券コード:8951)
三井不動産をスポンサーとする国内のオフィスビルに特化して運用を行う不動産投資会社です。2018年5月時点での保有物件数は72棟。
東急リアル・エステート投資法人(証券コード:8957)
東京と神奈川県を中心に鉄道事業を展開している東急グループの不動産投資会社です。主に首都圏を中心にオフィスビルや商業施設を中心に運用。2018年5月時点での保有物件数は29棟。
専門の不動産運用会社が運用
不動産投資信託(REIT)は、不動産運用に特化した専門の運用会社が運用を行います。そのため、ご自身で不動産を購入して運用するのと比べると、高度なノウハウが不要で手間とコストを削減した運用が可能になります。また、複数の物件を運用していますので、1回と投資で分散した投資が可能になります。
多額の資金を投じずに不動産へ投資可能
実物の不動産に投資する場合、多額の資金を用意する必要がある、また、借り入れを行う場合も金額が多額になるデメリットがありますが、不動産投資信託(REIT)を通じて不動産に投資することで、多額の資金を用意したり、借り入れを行う必要はありません。
例えば、オリックス不動産投資法人は1口から購入することができ、2018年5月2日時点では16万8,000円から投資することができます。
安定した分配金が得られる
不動産投資信託(REIT)は、安定した分配金が得られるのも嬉しいポイントです。
一般的な株式投資でも事業活動で得た収益を配当金として投資家に分配しますが、日本経済新聞で2018年5月時点における東証1部に上場している全銘柄の平均配当利回りを調べてみたところ1.50%となっていました。一方で、不動産投資信託(REIT)の利回りを不動産投資信託情報サイト「JAPAN-REIT.COM」で調べてみたところ4.11%としています。
数字て見て分かる通り、株式投資と比べて利回りが高く安定した収益が得られることがわかります。
不動産投資信託(REIT)の仕組み
不動産投資信託(REIT)は、不動産を運用する場合、国内の場合法律に基づいて「投資法人」と呼ばれる会社が投資家を募るために株式に該当する「有価証券」を発行します。有価証券の発行で得た資金を不動産に投資し、投資先の物件から得られた賃料収入を投資家に分配します。また、必要に応じて、金融機関から「資法人債」と呼ばれる債券を発行してお金を借りることもあります。
不動産そのものの運用は、投資法人ではなく専門の「運用会社」が行っています。また、資産そのものの保管は「資産保管会社」、投資家に分配金の通知を行ったり、投資家の個人情報を管理する一般的な事務業務は「投資主名簿等管理人」と呼ばれる会社に委託しています。
多くの場合、実際の不動産を運用を行う運用会社は、投資法人の関連会社であることが多いです。また、資産保管会社や投資主名簿等管理人は信託銀行が引き受けているのが一般的です。
ネット証券では東証REIT指数型ETFが無料で売買可能
REITに投資する場合、個別のREIT銘柄に投資する方法の他、東京証券取引所に上場しているREITの値動きを指数化した東証REIT指数があります。東証REIT指数に連動した上場投資信託(ETF)を利用することで、日本全体の不動産市場に投資することが可能な他、取引手数料も安く抑えて運用が可能です。
東証REIT指数に連動するETFは、個別株の取引同様に証券取引所で売買を行いますので、証券会社が定める売買手数料が発生します。ただし、ネット証券を中心にET特定のETFの売買手数料を無料で売買が可能となっています。また、SBI証券や楽天証券、マネックス証券では、少額投資非課税制度(NISA)を活用することでも売買手数料を無料にできます。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | SBIネオトレード証券 | 松井証券 | |
ETF銘柄数 | 国内上場全銘柄(221銘柄) | 国内上場全銘柄(221銘柄) | 国内上場全銘柄(221銘柄) | 国内上場全銘柄(221銘柄) | 国内上場全銘柄(221銘柄) |
売買手数料(※) | 50~487円 | 50~487円 | 100~1500円 | 50~800円 | 0~1000円 |
無料対象ETF | NEXT FUNDSなど113銘柄 | MAXISシリーズETFなど118銘柄 | iシェアーズETF11銘柄 | 無し | 無し |
(※)約定代金100万円までの税抜手数料
ネット証券を活用することで、三菱UFJ国際投信が運用するMAXISJリート上場投信の他、NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信などが無料で取引が可能です。無料ETFについての詳細は証券会社各社の公式ホームページをご覧ください。
SBI証券公式サイト
楽天証券公式サイト
マネックス証券公式サイト
証券会社毎の詳細な売買手数料は以下の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。