株式投資で得た利益を申告する場合、経費の計上は認めらるのか?

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株式投資で売却益などで利益を得た場合は所得税を支払う必要があります。ただし、株式投資を行うにも通信費や書籍代など何かしらの経費が発生しています。多くの場合株式投資で得た利益はこれらの経費は考慮されずに課税されるパターンが多いですが、株式投資では経費の計上は認めらるのか調べてみましたので紹介します。

株式投資は原則として譲渡所得で分離課税を適用

はじめに、ご自身の年間の所得に対して確定申告を行う場合、所得の種類によって申告方法が異なってきます。所得の種類は、1.配当所得、2.利子所得、3.不動産所得、4.事業所得、5.給与所得、6.退職所得、7.山林所得、8.譲渡所得、9.一時所得、10.雑所得の10種類の所得に分けられます。

株式投資で売却益が得られた場合、一般的に適用される所得の種類としては「8.譲渡所得」に該当します。譲渡所得とは、ご自身が保有しているものを売却したときに得られた所得で、最初の取得金額から売却した金額を差し引いて算出します。

株式を売却した場合は、誰かが売却した金額で株を購入することになりますので原則として譲渡として扱われます。また、不動産を売却する際に得た売却益も譲渡所得となります。

株式の売却において譲渡所得とした場合、他の所得と分離して申告を行う申告分離課税を適用します。税率は20.315%で所得税として15.315%、住民税として5%が課税されます。

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株式投資の売却益は事業所得もしくは雑所得としても認められる

株式投資は、原則として譲渡所得という扱いとなっていますが、厳密にお伝えすると必ずしも譲渡所得とは限らず、事業所得もしくは雑所得としても申告は可能となります。

筆者がいつもお世話になっている税理士と相談した際に、1年以上保有している株式を売却した場合は譲渡所得、1年未満で短期取引を行った場合の売却益については事業所得や雑所得としても申告できると教えていただきました。

実際に国税庁のホームページで確認した所、以下の内容でも記載がされていました。

1.株式等に係る譲渡所得等の金額は、株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額の合計額とされている。株式等の譲渡に係る所得区分は、従来から、当該株式等の譲渡が営利を目的として継続的に行われているかどうかにより判定することが原則とされていたが、平成15年からの株式等譲渡益課税の申告分離課税への一本化に際し、課税庁と納税者側の両者からみた簡便な所得区分の基準を明らかにする必要があるとの理由から、実質基準を原則としつつも、次のとおり取り扱って差し支えないこととしている。

1所有期間1年超の上場株式等及び非上場株式等の譲渡による所得は、譲渡所得とする。

2信用取引等の方法による上場株式等の譲渡など所有期間1年以下の上場株式等の譲渡による所得は、事業所得又は雑所得とする。

事業所得や雑所得とした場合、総合課税とはならず租税特別措置法37の10における記載内容によると、株式投資での売却益を事業所得もしくは雑所得とした場合でも総合課税は選べず申告分離課税となります。また、株式投資においては青色申告はできませんので注意が必要です。



事業所得と雑所得であれば経費計上は認められる

株式投資で利益から経費を差し引きたい場合は、譲渡所得ではなく事業所得もしくは雑所得で申告する必要があります。譲渡所得の場合は原則として経費計上は認められません。

事業所得の場合は営利を目的にして継続的に行いますのでそこで経費計上は認められますが、譲渡所得は営利を目的としたものではなくあくまでも一時的な所得に近いイメージでありますので経費計上は認められないとしています。

そのため、株式投資で得た売却益から書籍代や新聞代、通信費、セミナー代などを差し引く場合は事業所得もしくは雑所得で申告することが重要です。

また、当然ですが、経費として計上したい場合は、取引がある証券口座において「一般口座」もしくは「特定口座(源泉徴収なし)」に設定しておく必要があります。特定口座(源泉徴収あり)の場合は、強制的に源泉徴収されてしまいますので後から経費の申告は認められませんので注意が必要です。

証券会社に口座開設を行うと、一般口座と特定口座を選択する必要があります。それぞれの口座によって、確定申告を行う際の手続きが異なってきますので、事...

確定申告書への記入方法

確定申告書に株式投資の経費を計上する場合は、確定申告書に添付する「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の「必要経費又は譲渡に要した費用等」の項目に空白の欄があります。この空白の部分に書籍代や通信代などの項目をご自身で入力して記載します。

また、e-TAXで確定申告を行う場合は、「所得・所得控除等入力画面」より画面下部までスクロールを行い、分離課税の所得の項目内の「上場株式等の譲渡所得等」をクリックします。

「金融・証券税制(入力項目の選択)画面」より、「特定口座年間取引報告書の内容を入力する」ボタンをクリックして源泉徴収の選択で「無」を選択します。

その後、入力フォームがいくつが出てきますので必要事項を記入し、「4.特定口座年間取引報告書に記載されたもの以外の費用の入力」項目に経費として計上したい項目と金額を入力します。

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