外国の個別株や上場投資信託(ETF)から配当金や分配金が支払われた場合、外国と国内で二重に源泉徴収される場合がありますが、確定申告時に外国税額控除を申請することで、二重課税を調整することができます。
今回は、確定申告において外国税額控除の申請方法を解説します。
外国税額控除とは?
外国税額控除とは、2018年12月21日の記事で詳しく解説していますが、外国の株式やETFを保有していた場合において、外国企業や投信会社から配当金や分配金が支払われる場合があります。その際、外国において、ご自身の証券口座に配当金もしくは分配金が振り込まれる前に、現地で源泉徴収された後に、国内でも20.315%の源泉徴収が行われた上で証券口座に振り込まれます。
このように、外国から配当金や分配金を受領した場合、外国と日本で二重に課税されている状況となります。そこで、外国税額控除を適用することでこの二重課税を調整することが可能となります。
例えば、米国の株式を保有していた場合、配当金が支払われる際に10%の源泉徴収が行われます。さらに、国内においても20.315%課税され、合計で30.315%の課税されることになります。
外国税額控除を適用するには、証券口座種別が一般口座特定口座源泉徴収あり、なしにかかわらず確定申告が必要になります。
はじめに配当支払い通知書を用意する
配当支払通知書の例
確定申告で外国税額控除を適用するには、はじめに証券会社から郵送もしくはインターネットの専用ページにて用意されている「配当支払通知書」を用意します。
配当支払通知書は、各証券会社によって名称が異なる場合がありますが、配当金がいくら支払われたかが記載されている書類となります。書類の詳細については、ご自身で取引のある証券会社に外国税額控除を行いたい旨を伝え、該当書類を取り寄せてください。
取り寄せた書類には、配当金の金額、外国所得税の額(現地で源泉徴収された額)、国内の源泉所得税額、現地支払い日(納付確定日)が記載されていることを確認します。
国税庁のホームページより確定申告コーナーにアクセス
確定申告を行うには、税務署に出向いて行う方法以外にも国税庁のホームページより確定申告書作成コーナーが用意されていますので、必要事項を記入して書面もしくは電子申告(e-TAX)で申告が可能です。なお、2021年度分については2022年1月より作成が可能です。

はじめに、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」ボタンをクリックします。

「e-TAX」もしくは「書面提出」のどちらかを選択します。筆者は毎年確定申告を行っていますのでe-TAXで行いますが、e-TAXでの申請は事前準備が必要になりますので、はじめて確定申告をされる場合は「書面提出」を選択するのをおすすめします。(以下、書面提出を前提に解説をすすめます)

お使いのPCが推奨環境に適合しているか、プリンタの接続、利用規約に合意の上、すべてチェックを入れます。

次に、作成する確定申告作成コーナーを選択します。ここでは給与所得者か事業者者かで別れますが、会社員や公務員であれば一番上の「所得税」を選択します。筆者は、事業所得者でありますので「決算書・収支内訳書」で申告を行っています。(以下、所得税を例に解説します。)

次に入力方法を選択します。今回は外国税額控除の申請になりますので、真ん中の赤ボタンの「作成開始」をクリックします。

申告書を作成する前に確定申告書の提出方法に「確定申告書等を印刷して税務署に提出する」のラジオボタンを選択します。その後、ご自身の生年月日を入力します。

確定申告書の入力画面が表示されます。外国税額控除を適用するには、「税額控除・その他に項目の入力」まで進み、一番下の外国税額控除の「入力する」をクリックします。
外国税額控除額を入力する
次に、実際に外国税額控除の入力を行ってみたいと思います。ここからは、証券会社から取り寄せた書類を元に入力が必要になります。

確定申告書入力画面より「外国税額控除」をクリック後、「外国税額控除の計算がお済みでない方」のラジオボタンをクリックします。「お済みの方」の選択でも構いませんが、別途外国税額控除の明細書の提出が必要になります。

今回は、マイクロソフトの株式を1000株保有していることを例として説明します。今回は説明上1つのみ説明しますが、複数の配当金を受領している場合はすべてを記入する必要がありますのでご留意ください。

それぞれの入力項目に対して、以下の内容を入力します。
国名:米国
所得の種類:配当
税種目:源泉徴収税
納付確定日:配当金等支払日
納付日:国内支払日
源泉・申告の区分:源泉
所得の計算期間:平成30年1月1日、平成30年12月31日
相手国での課税標準については、外貨建てと円建ての両方を記入します。配当金支払い通知書を確認して、源泉徴収される前の金額を入力します。ここでは、ドル建ては460.0ドル、円建ては51713円と入力します。
左に係る外国所得税額については、外貨建てと円建ての両方で現地で源泉徴収された金額を入力します。今回は米国で10%源泉徴収されていますので、ドル建てで46.0ドル、円建てで5171円を入力します。

続いて、調整国外所得の計算を入力します。ここには受け取った配当所得の合計額を入力します。
最後に、平成30年1月1日時点において政令指定都市に住所があるかどうかを選択します。選択後、ページ下部の「入力完了」をクリックします。

その後、確定申告書入力画面に戻りますので、外国税額控除額が反映されていることを確認します。外国税額控除の反映は事前に他の所得の項目を入力している必要があります。控除額はその他の入力項目や控除額などによって異なりますのでご留意ください。