中国株に投資していると株価が上がらないという声をよく聞きます。日本株もあまり上がらない印象もあり、世界的に米国株が一人勝ちの状態が続いています。世界的に投資先は分散することが重要になる中、経済的な有望な市場として中国が注目されていますが、株価が上がらない背景と投資していく上での注意点を解説します。
中国株は本当に株価は上がっていないのか検証
国内でも世界的に投資先を分散する投資家が増える中、米国株についで中国株に投資する投資家も増えています。しかしながら、中国株に投資したものの株価が上がらない、逆に株が下落続け資産が半減したといった声を聞くようになりました。
直近の状況として、コロナショックが起きる2020年3月20日からの、香港ハンセン指数と米国のダウ工業株30種平均株価、日経平均株価を比較してみました。
香港ハンセン指数(赤)、日経平均株価(緑)、ダウ工業株30種平均株価(青)
3指数の株価を確認してみると、鰐口が開いた状態で、香港ハンセン指数は下落を続けています。潮目が変わったのは2021年2月からで、米国による経済制裁に加え、中国不動産大手の「中国恒大集団」の経営悪化による中国不動産市場のバブル崩壊、阿里巴巴集団を筆頭に中国政府によるハイテク企業への統制強化などにより、多くの投資家が中国市場から投資資金を引き上げています。
香港ハンセン指数(赤)、日経平均株価(緑)、ダウ工業株30種平均株価(青)
また、過去10年間の株価推移も確認してみましたが、ご覧の通り香港ハンセン指数のみが横ばいに低迷している状況となっています。
中国株は中国経済の実態を反映しているわけではない
中国株が上昇しない要因としては、中国株の値動きは必ずしも中国経済の実態を反映しているわけではないということです。
中国経済を牽引しているのは民間企業か外国籍の企業であるのも事実です。しかしながら、中国株の多くは中国政府が多く株を握っている企業が多く、成長性が乏しく投資資金も十分に集まっていないというのも事実です。
中国株の多くはは、政府であったり、創業者などが多く株式を保有していることも多く、米国株に比べると浮動株の割合が低い銘柄も多く、市場における流動性が乏しく投資資金が集まりづらいという要因もあります。
中国市場における投資環境の整備が途上である
中国株が上昇しない要因として、もう一点あげられるのは、中国株式市場における投資環境の整備が途上で有ることです。
日本においても、近年企業統治など2012年の安倍内閣の発足で、投資環境の整備が進められましたが、米国や欧州に比べると日本でも課題は多く残っているのも事実ですが、中国株の場合は、中国株式市場は中国政府が中心となっており、投資家に安心して投資ができる環境としてはまだまだ乏しいのも事実です。
身近な事例であれば、中国不動産大手の中国恒大集団の経営悪化などもその代表的な例であると言えます。借金を繰り返して過剰な不動産投資が経営悪化の要因ではありましたが、そもそも投資家への情報開示などにも問題があり、正確な経営実態が投資家に伝達されていない事実もあります。
また、中国株式市場は、個人による博打的な短期取引も多く、長期的に企業を支援するという意識が低いのも事実です。まずは、企業統治など投資環境の整備し外国から投資資金を集められる環境の整備、長期投資の定着といったところが今後の課題となりそうです。
中国株に投資する上での注意点
中国株に投資したが、株価が上がらない、中国株に投資を検討している場合において、中国株への投資は非推奨とするわけでな無く、投資する上での注意点をしっかりと把握して上で投資を行うことで、期待できる利益獲得も期待できます。
1.中国株だけに集中投資しない
中国株は、リスクが高い投資であるということを認識した上で、中国株だけに集中投資するのではなく、米国株や日本株など複数の国と地域に分散した投資を行うことが重要です。
2.浮動株の割合を把握し投資家向け情報開示内容をしっかりと一読する
中国株は浮動株の割合が低く、株価が大きく乱高下することも多いです。投資前は必ず浮動株の割合がどれくらないのか調べることや、投資家開示資料を一読し、投資家と対話する姿勢などもしっかりと確認しておくことが重要です。
3.国策による影響を大きく受けやすい
中国株のは中国政府の意思決定における影響が企業活動に大きく受けやすい特徴があります。近年では阿里巴巴集団の金融子会社上場取りやめや学習塾の問題などがありましたが、政策の転換や規制などが多く注意が必要です。中国株は中国政府が考えていることを先読みする投資であると考えておいたほうが良いでしょう。
中国株の投資における長所と短所については、以下の記事でまとめていますので合わせてご覧ください。
中国株投資におすすめしたい証券会社
中国株に投資する場合、取り扱い銘柄が豊富なことと手数料をできるだけ低く抑えて取引ができる証券会社を選ぶことが重要です。
中国株の取り扱いが豊富な証券会社としては、欧州の投資銀行サクソバンク傘下のインターネット証券サクソバンク証券の他、国内のマネックス証券です。
サクソバンク証券 | 楽天証券 | SBI証券 | マネックス証券 | |
手数料 | 0.20% | 0.50% | 0.26% | 0.25% |
上海証券取引所 | 161銘柄 | 235銘柄 | 取扱なし | 取扱なし |
深圳証券取引所 | 97銘柄 | 取扱なし | 取扱なし | 取扱なし |
香港証券取引所 | 1733銘柄 | 719銘柄 | 1500銘柄 | 2058銘柄 |
サクソバンク証券は、香港証券取引所銘柄1700銘柄以上に加え、国内で取り扱いが少ない上海証券取引所上場銘柄が100銘柄以上、深圳証券取引所上場銘柄が90銘柄以上取り扱いがあります。また、取引手数料は0.20%に設定されています。サクソバンク証券については、一般口座のみの利用となり、特定口座およびNISA口座については利用できません。
マネックス証券は、香港証券取引所に上場している中国株2,000銘柄以上取り扱っています。取引手数料は0.25%とネット証券の中ではお得に取引ができます。また、一般口座に加え、特別口座、NISA口座が利用できます。