手持ちの資金より多くの額で取引が可能となる信用取引は国内株式では一般的に利用されていますが、米国株の信用取引は日本国内で可能であるのか、また、対応する証券会社があるのか気になります。今回は外国株の信用取引の現状と利用可能な証券会社を紹介します。
目次
外国株の信用取引は国内では2022年7月より解禁へ
株式投資における取引方法として現物取引と信用取引があります。現物取引は株式そのものを株式数に応じた価格で売買することに対して、信用取引は、現金や株式や投資信託といった有価証券を担保にした上で、証券会社より資金を借り入れることで、手持ちの資金に比べて最大3倍(国内株)の取引が可能となるものです。
さらに、信用取引の場合は買い注文だけではなく、株式を証券会社から借りることで売り注文からも入ることができます。そのため、下落局面でも利益を狙うことができます。
国内株ではおなじみの信用取引ですが、2022年7月より金融庁より米国株においても信用取引が解禁されます。
現状国内株の保証金率は時価総額の30%であるのに対し、外国株では50%に設定されており、手持ちの資金の約2倍の金額を取り引き可能となります。
日本国内で米国株の信用取引に対応する証券会社はSBI証券と楽天証券、マネックス証券となります。
信用取引に似た取引手法である差金決済取引(CFD)の利用も可能
米国株のみならず外国株の信用取引解禁に向けて整備を進めている状況ではありますが、信用取引に似た取引手法である差金決済取引(CFD)については、国内から米国株の取引が可能です。
差金決済取引(CFD)は、信用取引とは異なり現物株式を利用した取引ではなく、対象の株価の値動きのみを利用し売買価格の差額に対して金銭の受け渡しを行う取引です。株式の外国為替証拠金取引(FX)版とも言われ、FXの場合も同様に現物の外貨ではなく、あくまでも為替の値動きに対して、その金銭の受け渡しが行われています。
差金決済取引(CFD)を利用する場合は、FX同様に本来の価格に購入時と売却時の価格差であるスプレッドが売買手数料の代わりとなります。また、配当金についても保有数量に合わせて受け取ることが可能です。
日本国内で米国株の差金決済取引(CFD)を利用できる証券会社は欧州投資銀行サクソバンク傘下のサクソバンク証券が利用可能です。
米国株の信用取引はネット証券3社が2022年7月に対応
金融庁が2022年7月に外国株の信用取引を解禁するのに合わせて、SBI証券と楽天証券、マネックス証券は米国株の信用取引サービスを2022年7月に開始しています。
SBI証券や楽天証券、マネックス証券は、米国株(現物)を約4000銘柄以上取り扱っており、売買手数料も約定代金に対して0.45%(最低0米ドル、上限20米ドル)で取引可能です。信用取引の場合は1株以上1株単位で売買可能で取引手数料は約定代金に対して、0.33%で取引可能です。
ネット証券3社では、米国株の取引において手持ちの資金に対して約2倍の金額が取引可能になる他、売りから入ることもできますので下落局面においても利益を狙うことができます。
米国株の差金決済取引(CFD)であればサクソバンク証券が利用可能
国内では外国株の信用取引ができない中、信用取引に類似する取引である差金決済取引(CFD)は、サクソバンク証券で利用可能です。
国内の証券会社では唯一、米国株の個別株の差金決済取引(CFD)の取り扱いを行っており、個別株CFDではレバレッジは最大5倍まで取引が可能です。空売りについても多くの銘柄で利用できます。(一部利用できない銘柄も存在します)
取引手数料としては、取引数量に0.025ドルを乗算した価格で、最低手数料は10ドルに設定しています。日を跨いでポジションを保有した場合に発生する金利である「オーバーナイト金利」、配当金を受領するときに発生する「配当等調達金」、証拠金よりレバレッジを利用した場合に発生する「借入金利」、日本円から米ドルに両替する時に発生する「両替コスト」の負担が必要です。
差金決済取引(CFD)だけではなく、米国株の現物株を約6,000銘柄以上取り扱っています。また、中国株や欧州株も2,000銘柄以上扱っており、世界に投資したい方におすすめです。
現物株の売買手数料は米国株が約定代金に対して0.20%で取引可能で、最低手数料は5米ドル、上限手数料は15米ドルに設定されています。また、2021年10月より一般口座に加え、特定口座での売買も可能となっています。