アジアや欧州といった企業に投資したいと考えた場合に有力な手段として米国預託証券(ADR)を活用する方法があります。ただし、原株とADRは何が違うのか疑問に思うこともあります。今回は外国株投資で原株かADRの仕組みと制度上の相違点をポイント毎に解説します。
原株と米国預託証券(ADR)の仕組み上の相違点
外国株に投資する場合、企業が発行した株券そのものである(原株)と、米国以外の企業が発行した株券を担保にした有価証券である米国預託証券(ADR)を購入して投資する方法があります。
米国企業に投資する場合は、証券会社で外国口座を解説して米国株の原株に直接投資することになりますが、まれに米国以外の企業の株を購入したいと考えた場合は、米国預託証券(ADR)に対象の企業が上昇していれば、ADRを通じて投資が可能です。もちろん、対象企業が属する国の株式を取引している証券会社が扱っていれば、原株に直接投資することはできます。
原株
原株は、企業が資金調達を目的に発行した有価証券である株券そのものです。企業が株券を証券取引所を通じて株式を上場させることで、多くの投資家が証券取引所を通じて株式を売買することが可能になります。
米国預託証券(ADR)
米国預託証券(ADR)は、米国外の企業が発行する株券を預託を受けて信託銀行が発行した有価証券となります。
そのため、ADRは対象の企業が直接米国株式市場に株式を公開しているのではなく、一旦信託銀行が、対象企業の有価証券を購入し、それを担保とした有価証券を発行させた上で、米国株式市場に上昇指しているものとなり、間接的な株券です。
特に、中国など本土で外国からの投資が制限されている企業が、米国を通じて世界から資金調達を行いたい場合に活用する例が多いです。
原株と米国預託証券(ADR)の制度上の相違点
原株と米国預託証券(ADR)に投資する場合における、制度上の相違点は以下の通りです。
1.配当金受領や議決権行使
配当金受領や議決権行使については、原株では当然権利として付与されますので可能です。また、米国預託証券(ADR)経由での投資においても配当金受領や議決権行使は可能となりますので、ここについては大きな相違はありません。
ただし、日本国内の証券会社から原株もしくは米国預託証券(ADR)に投資した場合、保有機関経由での投資となりますので、議決権は講師できない場合もあります。
2.証券取引所での取引
原株と米国預託証券(ADR)は両社ともに証券取引所で売買が可能です。原株の場合は、上場している国に証券取引所が定めた取引時間及び売買単位、通貨、注文方法に従い取引ができます。米国預託証券(ADR)は、米国のニューヨーク証券取引所やナスダック取引所が定めた取引時間、単位、通貨、注文方法となり、通常の米国株の取引と同様です。
3.1株あたりの価値
原株の1株と米国預託証券(ADR)の1株では価値が同等であるとは限りません。こちらは銘柄によって異なりますが、中国株の場合は、1ADRあたり5株から10株程度相当になっている場合が多いです。
4.上場廃止後の取り扱い
原株と米国預託証券(ADR)では上場廃止後の取り扱いに大きな相違点があります。原株とADR両者ともに上場廃止となる場合は、市場価格に合わせて換金される場合が一般的ですが、米国預託証券(ADR)のみが上場廃止となった場合、原株に引き換えとなるか、換金するかはその企業や取引している証券会社が依頼した保管機関によって異なります。
原株と米国預託証券(ADR)に投資するならどちらが良いか
日本からでも外国株に投資可能な証券会社は増えていますが、原株と米国預託証券(ADR)のどちらを利用して投資すべきか疑問に考えている方も多いかと思います。
当然ながら、現在ご自身が取引している証券会社が米国株のみの取り扱いで、原株が上場している国の証券取引所にアクセスできない場合は、米国預託証券(ADR)を通じて投資することになります。
一方で、対象企業が上場している国の証券取引所にアクセスできる場合は、原株に投資することが良いと言えます。特に長期的に投資する場合は、途中で米国預託証券(ADR)の上場廃止リスクなどを考慮すると原株がなお良いと言えます。
近年、米中関係の悪化や中国当局によるハイテク企業規制により中国企業で米国預託証券(ADR)の上場廃止する事例が見られます。前述した通り、ADRの上場廃止後の取り扱いは、必ずしも原株に引き換えになるとは限りません。対象企業の判断や証券会社の以降により強制的に換金となり、投資を続けたくても途中で止める必要性も考えられます。
外国株の投資におすすめな証券会社
日本国内でも米国株の取り扱う証券会社は増えていますが、米国株以外にも世界中の企業に投資したい場合は、複数の国の証券取引所に接続可能な証券会社を利用することが重要です。
前述したとおり、米国預託証券(ADR)のみを利用したグローバル投資は上場廃止リスクもありますので、可能な限り世界中の幅広い国と地域の証券取引所に接続できる証券会社を選ぶ必要があります。
そこで、外国株の取引には米国と中国、欧州市場にアクセス可能なサクソバンク証券がおすすめです。
同社は、デンマークを拠点に展開している投資銀行サクソバンク傘下の証券会社で、米国株が約6,000銘柄、欧州株が約2,400銘柄、中国本土と香港株合わせて約2,400銘柄と、ネット証券の中で米国株の取り扱いが豊富でかつ、国内の証券会社では取り扱いが少ない欧州株の取り扱いがあるのも特徴です。
売買手数料も米国株であれば約定代金の0.20%(税込)で最低手数料が5米ドル、上限が15米ドルと米国株を中心に取引を行う方であれば、大きくコストを抑えることが可能です。欧州株の売買手数料は約定代金の0.50%(税込)とこちらも低コストで売買可能となっています。
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