米国預託証券(ADR)を利用することで、外国証券口座を開設することで日本から投資しづらい銘柄に投資がしやすくなります。一方で、米国預託証券(ADR)を利用して投資した際に受け取った配当金について、通常の米国株で受領した配当金に対する税制度と若干異なる場合があります。今回は米国預託証券(ADR)への投資で受けった配当金に対する税制度を解説します。
目次
米国預託証券(ADR)の概要
米国預託証券(ADR)は、米国外の企業が発行する株券を預託を受けた信託銀行が発行した証券のことです。英語ではAmerican Depositary Receiptと呼ばれています。
通常株券は企業が発行して、証券取引所に上場させることで、多くの投資家が株式の取引が可能になります。預託証券の場合は、外国市場などで株式を上場することで外国から資金調達を行いたい場合、現地の信託銀行に発行した原株を預託した上で、預託証券として間接的に上場することで資金調達が行うことが可能です。
特に、アジア企業では米国のニューヨーク証券取引所やナスダック市場にADRとして上場している企業は多いです。アジアの場合は、インドや中国本土を中心に外国からの投資に制限がある場合も多く、第三国から資金調達を行いたい場合にADRを利用する企業は多いです。
米国預託証券(ADR)の配当課税は本国の税制度に従う
米国預託証券(ADR)への投資で受領した配当金に対する課税は、原則として本国の税制度に従い源泉徴収が行われます。
通常の米国株の投資で受領した配当金でであれば、米国国内で10%が源泉徴収されますが、米国預託証券(ADR)の場合は、対象の企業が属する国の税制度によって配当金受領時に源泉徴収される税率が変わります。
例えば、中国企業で米国預託証券(ADR)に上場している企業は多いですが、中国本土の場合、配当課税の税率は10%と定めています。そのため、受領した配当金に対して10%の額が源泉徴収されます。台灣の場合は日本同様に配当課税の税率は20%に定められています。
一方で、中国企業でも籍を英領ケイマン諸島などにおいている企業が米国預託証券(ADR)に上場しているケースがありますが、英領ケイマン諸島に籍をおいている企業の場合は、配当金に対する課税はありません。
配当受領時は本国で源泉徴収後、日本国内でも20.315%が課税される
米国預託証券(ADR)の投資で配当金を得た場合、前述の通り本国が定めた税率に従い源泉徴収が行われた後、日本でその配当金が受け取る際に、更に日本の税率に従い、所得税と住民税を合わせて20.315%が課税されることにも留意が必要です。
例えば、中国本土企業の米国預託証券(ADR)で受け取った配当金の場合、中国本土の税率で10%が源泉徴収された後、日本国内の証券口座に入金される際に、20.315%が源泉徴収されます。合計で30.315%の税金を支払うことになります。
こちらは、米国株など外国株投資でも同じですが、本国と日本で二重に課税さえることになります。後述していますが、外国税額控除を利用することで、二重課税を調整することができます。
外国税額控除を適用することで二重課税を調整することが可能
米国預託証券(ADR)の投資においても、配当金受領時に本国と日本の二重課税になってしまいます。確定申告において外国税額控除を適用することで、二重課税を調整することが可能です。
外国税額控除制度は、外国企業より配当金を受領した翌年の3月15日までに確定申告を行うことで、二カ国で課税された税金を、総所得額に応じて控除することで、二重課税を調整するものです。
外国で課税された分を控除するものではなく、年間の総所得金額に応じて限度額が定められています。計算方法は、以下の通りです。
外国税額控除限度額=年間所得税額×外国所得税額÷年間総所得額
米国預託証券(ADR)の投資におすすめな証券会社
米国株式市場に上場する米国預託証券(ADR)を含め、米国株への投資を検討している場合、米国株の取り扱いが多く、売買手数料が安いサクソバンク証券がおすすめです。
サクソバンク証券 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
売買手数料 | 0.20% | 0.45% | 0.45% | 0.45% |
最低手数料 | 5米ドル | 0米ドル | 0米ドル | 0米ドル |
上限手数料 | 15米ドル | 20米ドル | 20米ドル | 20米ドル |
同社は米国株を約6000銘柄取り扱っており、国内のネット証券の中では取り扱い銘柄数は最多となっております。また、売買手数料についても約定代金に対して0.20%に設定されており、最低5ドル、最高でも15ドルに設定されており、国内のネット証券の平均0.45%の手数料に比べると、お得に取引が可能となっています。
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