米国預託証券(ADR)へ投資する上で知っておきたいリスクとその注意点

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米国預託証券(ADR)は、中国企業やアジアの新興国の大手企業を中心に米国の証券取引所に米国預託証券(ADR)として上場している場合があり、日本から投資しづらい銘柄でも外国証券口座を開設することで気軽に投資が可能になります。しかしながら、原株とは異なり預託証券特有のリスクや注意点も存在します。今回は米国預託証券(ADR)に投資する上で予め知っておきたいリスクと注意点を解説します。

米国預託証券(ADR)の概要

米預託証券(ADR)の仕組み

米国預託証券(ADR)は、米国外に籍を置く企業が、株式の預託を受けて信託銀行が発行した証券となります。

通常株式を公開する場合は、証券取引所を通じて市場で売買できるようにしますが、外国の証券取引所を通じて株式を公開したい場合は、直接上場する場合もありますが、原株を一旦信託銀行に預託した上で、その預託した株式を裏付けた証券を、上場させたものになります。

米国預託証券(ADR)は、信託銀行が一旦預かっている原株に対して、裏付けされた証券として、間接的に米国の証券取引所を通じて売買できるようにしているものです。

米国預託証券(ADR)でも配当金の受領や議決権の行使が可能であるなど本来の株主と同等の権利を得ることができます。

米国預託証券(ADR)を通じて投資することで、日本から投資しづらい国に上場している銘柄への投資も実現しやすくなります。しかしながら、ADRと聞い...



預託証券の1株は原株の1株相当とは限らない

米国預託証券(ADR)や他の国の預託証券も同じですが、預託証券の1株は必ずしも、原株の1株相当の価値を有するわけではないことに注意が必要です。また、米国預託証券(ADR)の場合は、原株の株価を単純に米ドルに置き換えたものではないことも留意しておく必要があります。

阿里巴巴集団(9998.HK1/BABA)の香港上場原株と米国預託証券(ADR)の株価推移

例えば、中国の阿里巴巴集団(9998.HK1/BABA)は香港証券取引所とニューヨーク証券取引所に米国預託証券(ADR)として上場していますが、香港証券取引所における1株あたりの株価は2021年9月17日終値は154.9香港ドルであるのに対し、米国預託証券(ADR)の終値は160.05米ドルとなっています。

香港ドルを米ドルに17日時点のレートで換算すると1米ドルあたり7.78香港ドルとなります。阿里巴巴集団の米国預託証券(ADR)の終値相当を香港ドルに換算すると1245.19香港ドルとなり、米国預託証券(ADR)は原株の約8株相当になります。

ただし、基本的に米国預託証券(ADR)と本国の証券取引所で決定された株価は、僅かに差が出る場合もありますが、基本的には連動します。



米国預託証券(ADR)上場廃止時は本国の原株に引き換えになるとは限らない

米国預託証券(ADR)は上場後は永久に上場を続けるとは限りません。その会社そのものが解散になれば上場廃止になりますし、上場費用の削減の観点から本国の上場に一本化すること、近年では米国と中国が政治的に対立し米国預託証券(ADR)から撤退する企業も増えているように、米国と本国との間で関係が悪化した場合といった地政学的な理由など様々な要因で上場廃止になる可能性はあります。

将来的に何かしらの理由で米国預託証券(ADR)の上場廃止が決まった場合、米国預託証券(ADR)を保有している場合で本国で上場が維持されるとしても、必ずしも原株と引き換えになるとは限りません。

そもそも、取引している証券会社が対象国の株式を取り扱いしていない場合は原株と引き換えたとしても取引が不能になります。また、証券会社の意向で、原株と引き換えるということになった場合、前述していますがADR1株が原株1株に交換されるとは限りません。ADRの価格を本国の価格で換算した株式数に転換されるケースが多いです。



米国預託証券(ADR)が上場廃止の取り扱いは預託機関と証券会社によって異なる

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米国預託証券(ADR)が上場廃止となった場合、その後の取り扱いについては預託機関と取引している証券会社によって異なります。

例えば、ニューヨーク証券取引所から中国大手通信会社の中国移動通信(0941.HK )のADRが上場廃止となった際、マネックス証券ではADR1株あたり原株5株に転換が可能となり、今後は中国株式として取引ができるようになりました。

一方で、中国移動としては企業として正式に原株に交換することを通知しましたが、SBI証券では、同社は中国株を取り扱いをしているにも関わらず、原株への転換は行わず、預託機関にて売却した上で、投資者に現金として支払うとしています。

そのため、米国預託証券(ADR)を通じて投資している場合、投資先企業の正式な通知があったとしても、預託機関や取引している証券会社によって、上場廃止後の取り扱いについては異なってくることを理解しておく必要があります。

米国預託証券(ADR)の投資におすすめな証券会社

米国株式市場に上場する米国預託証券(ADR)を含め、米国株への投資を検討している場合、米国株の取り扱いが多く、売買手数料が安いサクソバンク証券がおすすめです。

サクソバンク証券 SBI証券 楽天証券 マネックス証券
売買手数料 0.20% 0.45% 0.45% 0.45%
最低手数料 5米ドル 0米ドル 0米ドル 0米ドル
上限手数料 15米ドル 20米ドル 20米ドル 20米ドル

同社は米国株を約6000銘柄取り扱っており、国内のネット証券の中では取り扱い銘柄数は最多で有ることに加え、売買手数料についても約定代金に対して0.20%に設定されており、最低5ドル、最高でも15ドルに設定されており、国内のネット証券の平均0.45%の手数料に比べると、お得に取引が可能となっています。

米国株以外にも欧州株が約2400銘柄、中国本土株と香港株合わせて約1,700銘柄取り扱っており、米国だけではなく、欧州や中国などグローバル規模に投資したい方にはおすすめです。

サクソバンク証券についての詳細は以下の記事または同社公式サイトをご覧ください。

サクソバンク証券公式サイト

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