株式投資において保有している銘柄もしくはこれから投資しようとしている銘柄において、誰が株を持っているのかを確認することが重要です。ここで言う安定株主の保有分のことで、特定株(固定株)とも言われています。今回はその概要と投資する上で確認しておくべきことをお伝えします。
特定株(固定株)は創業者や経営者などの保有分の株式のこと

特定株(固定株)とは、創業者や経営者などが保有している株式のことで、一般的に証券取引所などを通じて売買を行わない(市場に出回りにくい)株式のことを言います。
特定株の定義としては、「大株主上位10名及び特別利害関係者(役員等)が所有する株式と上場会社が所有する自己株式」と定められています。
創業者や経営者など会社関係者以外にも、企業同士で提携などを目的に株式を持ち合う、株式の持ち合いについても特定株に含まれます。これらの株主は市場を通じて株式を売買しないため安定株主とも言われます。一方で、一般の投資家が長期投資で保有している株式については特定株(固定株)には含まれません。
逆に、市場を通じて売買が可能な株式を「浮動株」と呼びます。一般的に投資家は証券取引所を通じて売買を行いますが、この浮動株を対象に売買を行うことになります。
投資する前は特定株比率を確認する

株式投資を行うに当たり、事前に特定株比率を確認することも重要です。特定株比率とは、発行済株式数の内、特定株(固定株)が占める割合のことを言います。
特定株比率が高い場合は、市場で流通する浮動株の比率が低くなりますので流動性が低くなります。逆に、特定株比率が低い場合は、浮動株の割合が高くなり流動性が高まり、売買したい値段で迅速に取引が可能になります。
また、特定株(固定株)については、誰が保有しているのかも確認することも重要です。創業者や経営者が保有していれば株主目線での経営を行ってくれることに期待できます。また、株式の持ち合いは特定の企業がどのような目的で保有しているのかも確認できるとなお良いと言えます。
特定株比率や大株主の情報については、会社四季報や上場企業が発行している有価証券報告書に記載されています。
特定株比率が高い銘柄に投資する場合に注意すべきこと

特定株比率が高い銘柄に投資する場合において注意すべきこととしては、前述したとおり市場に流通する割合である浮動株割合が低いことになりますので、流動性が低いということです。そのため、買いたいときに買いたい値段で買えない、逆に、売りたいときに売りたい値段で売れないということもあります。
また、流動性が低いため何かしらの要因で一気に売買需要が増えた場合、大きく乱高下することもあり、思わぬ損失を被ることも考えられます。
さらに、企業統治上の懸念も考慮しておく必要があります。創業者や経営者の保有分が高い場合は株主目線で経営を行い、迅速な経営判断で大きな利益をもたらすことも考えられますが、特定の株主に偏っていることで株主から経営上の意見が吸収しづらくなり誤った経営判断をすることも考えられます。
そのため、特定株比率が高い企業に投資する場合はハイリスク・ハイリターンを意識しておくことが重要です。
大株主が株売却時は立会外分売でお得に株を手に入れられる

特定株(固定株)において、大株主は基本的に株は保有し続けていることが多いですが、何かしらの理由で大株主が株式を売却することもあります。
その場合は、市場で売却することもありますが、数量が多い場合は立会外分売(たちあいがいぶんばい)を通じて、市場の取引時間外で売却することがあります。
取引時間外に行うことで、株価への影響を最小限にできることに加え、多くの株主に売却できることで市場に流通する株式の割合(浮動株割合)を増やすことができます。
立会外分売を通じて購入する場合は、投資家側としては無手数料で株式が入手できる他、市場に比べて3%ほど割引された価格で株式を入手できます。そのため、特定株比率が高い銘柄については、立会外分売が実施されることもありますので注目すべき点でもあります。
立会外分売の実施有無については、SBI証券や楽天証券
、マネックス証券、松井証券
、SBIネオトレード証券
など証券会社のホームページで公表されています。
立会外分売についての詳細は以下記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。