中国本土の証券取引所である上海証券取引所と深圳証券取引所のA株について、日本国内から投資する方法が限られているのが現状です。ただし、近年中国企業でも世界的に知名度を上げている企業も増えている中、中国A株市場にも注目が集まっています。今回は、中国A株に投資する方法を解説します。
中国A株とは?
中国本土には上海証券取引所と深圳証券取引所の2つの取引所がありますが、その2つの証券取引所はA株とB株に市場が別れています。
上海証券取引所 | 深セン証券取引所 | ||
A株 | B株 | A株 | B株 |
人民元 | 米ドル | 人民元 | 香港ドル |
A株は人民元建てで株式を発行していますが、B株は上海証券取引所は米ドル、深圳証券取引所は香港ドルで発行しており、A株は中国国内の投資家向け、B株は国内の投資家に加え外国人投資家に開放している市場で、実質棲み分けがされています。
そのため、A株は実質中国国内向けの市場であるため、現状として外国人が投資する手段が限られているのが現状です。
中国株の大部分は香港証券取引所で売買することが一般的ですが、これまで中国本土市場は国内向け、香港市場は外国人向けと分けられていた経緯があり、今日でも外国から資金調達したい中国企業の多くは香港証券取引所に上場することが一般的であり、日本国内でも中国株の多くは香港証券取引所で売買できる銘柄を中心に扱っています。
近年では、中国本土市場でも外国人に市場を開放する動きがあり、外国人も徐々に投資を増やしています。A株市場に上場する銘柄でも近年、世界的に知名度を上げている企業も増えているなど今後の成長も注目される企業も多いです。
日中相互取引可能な日中コネクティビティETFで投資する
今後の成長が期待できる中国A株ですが、日本国内から一番簡単に投資する方法としては、日中コネクティビティETFを活用する方法があります。
日中コネクティビティETFは、東京証券取引所を運営している日本取引所グループと上海証券取引所が2018年10月に日中間の投資機会を拡大すべく、両国で上場しているETFを現地の証券取引所で相互に取引できるための締結を行いました。
そこで、普段の日本株の売買で利用している東京証券取引所を通じて上海証券取引所A株に上場するETFを売買可能になる日中コネクティビティETFを取り扱いを開始しました。
2021年5月時点での取扱銘柄数は6銘柄であり、上海証券取引所A株に上場している上位180銘柄を組み入れた「上海180A株指数」や、上海と深圳のA株に上場する上位300銘柄を組み入れたCSI300指数といったA株市場を対象とした株価指数に連動するETFを取り扱っています。
外国ETFではありますが、既存の国内株の証券口座で日本円で売買できますので、外国口座を開設する必要もなく、人民元に換えて取引する必要はありません。
日中コネクティビティETFを取引する場合は、売買コストが安い証券会社を利用することも重要です。SBI証券や楽天証券、マネックス証券、SBIネオトレード証券(旧ライブスター証券)、松井証券といった、ネット証券を活用することで売買代金を抑えられます。
ネット証券各社の売買手数料については、以下の記事で詳しくまとめていますので合わせてご覧ください。
日中コネクティビティETFの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
中国A株に上場している個別株に投資する
日本国内でも中国A株に上場している個別株に投資することはできます。現状として中国A株市場に接続可能な証券会社は少ないのが現状ですが、日本国内であれば欧州の投資銀行であるサクソバンク傘下のサクソバンク証券の他、楽天証券が上海A株に上場している銘柄を一部扱っています。
サクソバンク証券
サクソバンク証券は、上海証券取引所に上場している銘柄を約160銘柄、深圳証券取引所に上場している銘柄が約100銘柄、香港証券取引所に上場している銘柄が約2,400銘柄以上取り扱っています。また、香港証券取引所経由で上海証券取引所と深圳証券取引所に接続する、滬港通(Shanghai-Hong Kong Stock Connect)と深港通(Shenzhen-Hong Kong Stock Connect)を利用してA株市場に投資することも可能です。
サクソバンク証券の取引手数料は、約定代金に対して0.20%、上海と深圳は0.15%で取引できます。
楽天証券
楽天証券については、上海証券取引所に上場している銘柄を約235銘柄取り扱っています。香港証券取引所に上場している銘柄は719銘柄で、中国株全体としては取扱数は少なめですが、上海証券取引所に上場している銘柄が国内の証券会社の中では比較的多い方になります。取引手数料は上海証券取引所と香港証券取引所ともに、約定代金に対して0.5%に設定されています。
中国株を取り扱ってい証券会社については、以下の記事でまとめていますので合わせてご覧ください。