株式投資を行っていると、時々株式分割という言葉を耳にします。すでに投資をされている方で経験したこともある方もいらっしゃるかと思います。今回は株式分割の概要と、対象銘柄の投資上の注意点を解説します。
株式分割は既に発行された株式を分割すること
株式分割はしばしばピザやケーキを切って小分けにすることに例えられる
株式分割とは、既に発行されている株式を1株を2株、3株、4株などに分割を行なうことです。
例えば、1,000株保有していた場合において、株式分割が1株あたり2株になった場合、分割後の保有数量は2,000株になります。そのため、既存の投資家は保有株式数は増えることになります。
ただし、分割前と後では、株価は分割の割合に応じて現象します。ただし、分割前と後でも総額は変わりません。例えば、1株2,000円の株価に対して、1株2株に分割した場合、1株あたり1,000円となります。先程の1,000株保有していたという前提でお話をすると、1,000株で分割前は2,000,000円であったのが、分割後は2,000株で2,000,000円となります。(株価の変動については考慮しない)
株式分割で1回あたりの投資額が減少し投資しやすくなる
株式分割を行なう目的としては、企業側が投資家層を増やすことを目的としています。株価が上昇すればするほど、1回あたりの投資額は大きくなります。そのため、個人投資家などを中心に小口で投資したいという方にとって、投資しづらい状況となります。
そのため、株式分割を行なうことで、1回あたりの投資額を少なくすることで、個人投資家などが投資しやすくなり、投資家を増やすことが可能となります。そのため、市場においてより流動性が高くなりやすくなります。
近年では、電子機器のApple(AAPL)と電気自動車のTesla(TSLA)が株式分割を行いました。Apple(AAPL)は、2020年8月31日付けで1株あたり4株に分割しました。分割前の株価は1株あたり535.6ドルでしたが、分割後は4株になったことで1株あたり131.4ドルとなり、日本円で数十万円程度と少額で投資が可能となりました。
株式分割を発表すると株価が上昇しやすい、ただし、分割は基準日に効力が発生する
Tesla(TSLA)の分割前と分割後の株価推移。分割前は急上昇している
企業が株式分割を発表すると、投資家層の拡大が期待され流動性が高まることが期待されることから、株が買われ株価が上昇しやすくなる傾向にあります。
ただ、企業が株式分割を発表した時点では、株式は分割は行われません。必ず基準日が設定され、その基準日に株式を保有していた場合に、その効力が発生します。これは、配当金の受け取り権利や株主総会の出席権利などと同様です。
例えば、7月に株式分割を発表し、その基準日が8月31日の場合、効力を受けるには8月31日までに保有しておく必要があります。8月31日を過ぎて株を購入した場合などはその効力は受けられません。
株式分割後は株価変動が大きくなることもある
基準日向かえ株式分割後は対象の銘柄の株価変動が大きくなる傾向にあることは注意が必要です。分割すると保有株式数が増えますが、増えた分、売却も容易になります。そのため、機関投資家などを中心に一気に売却に動くこともしばしば見られます。また、これまで株価が高くて買えなかった層が、分割後に購入に走ることも散見され、株価が乱高下しやすくなります。
Apple(AAPL)の分割前の分割後の株価推移。分割後は大きく下落
例えば、Apple(AAPL)やTesla(TSLA)が株式分割をしたあとは、買われすぎていたため株価水準が高かったことから利益確定売りが出たのこと重なり、分割後は株価が大きく下落し、Apple(AAPL)で一時20%以上、Tesla(TSLA)が一時30%以上下落しました。
そのため、株式分割後は株価が乱高下しやすくなることに留意することが重要です。