中国企業の香港重複上場が相次ぐ、その背景と中国株の投資戦略

【当サイトには広告が含まれます】

米国市場に上場している中国企業が近年香港市場へ重複上場する動きが加速しています。米中関係が悪化する中で重複上場することでリスクを低減することが背景としてあります。一方で、中国株に投資する投資家としてその後の投資戦略について考えてみます。

米国上場の中国企業の香港回帰が相次ぐ

近年、米国市場に上場している中国企業の香港市場で重複上場を行なう動きが加速しており、ITといった情報通信業を中心に香港回帰が増えています。

2020年時点で米国市場に上場している中国企業は251銘柄となっており、その中でも30社程度が香港への重複上場を行なうのではないかとの予測もあります。

中国の電子商取引大手の「阿里巴巴集団(9988.HK)」は、ニューヨーク証券取引所に上場していましたが、2019年11月に香港証券取引所へも上場をしました。今回の香港上場で1012億香港ドルの資金を調達したとしています。

また、米国ナスダック市場に上場していた、インターネット通販大手の「京東集団(JD.com)(9618.HK)」と、インターネット情報サイト、ゲーム開発大手の「網易(ネットイース)(9999.HK)」は2020年6月に香港証券取引所に上場しました。

香港重複上場する2つの背景

米国市場に上場している中国企業が香港市場に重複上場する背景としては、米中関係の悪化の他、香港証券取引所における上場規制が改定されたことにあります。

米中関係の悪化で外国企業の上場規制が強化される

2018年から米トランプ大統領による米中貿易摩擦による米中関係の悪化により、米国内において中国企業へ圧力も高まっています。そんなさなか、米ナスダック市場に上場していた、中国のスタバとも言われる「瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)」の不正会計事件が発覚したことで同社は上場廃止を余儀なくされました。その後、中国上場企業への不信感が強まったことで、米国政府は、中国企業を念頭に外国企業への上場規制強化法案を可決しています。

米国市場に上場する中国企業は、当時世界的にも規模が小さかった中国市場で上場するより、世界から資金が集まりやすい米国市場に上場することで効率的な資金調達と更なる知名度の向上を狙っていました。

米中関係の悪化により、米国政府の圧力が強まり中国企業の上場廃止リスクが高まっていることや、香港市場も規模が大きくなるにつれて、香港市場への上場でもより多くの資金調達が可能になっていることも背景としてありそうです。

香港証券取引所の上場規制が改定

香港証券取引所において上場規制が2018年に改定されました。香港証券取引所としては、国際金融市場としての地位向上を目的に、収益が出ていないバイオ企業の上場と議決権種類株式を発行している企業、海外市場に上場している企業の重複上場を認めました。

そのため、これまで海外で資金調達を行っていた、IT企業を中心に、香港市場への上場もしやすくなったことで、前述の通り、阿里巴巴集団(9998.HK)や京東集団(9618.HK)、網易(9999.HK)など、多くの企業が香港市場へ重複上場を果たしています。



香港ハンセン指数採用など香港市場の取引は活発になる可能性が高い

中国IT企業を中心に香港回帰はますます加速するものと思われますが、香港市場に上場している「阿里巴巴集団(9998.HK)」や重複上場でなないですがスマートフォンの「小米(シャオミ)(1810.HK)」、配食大手の「美團點評(3689.HK)」といった、中国本土で多くの方に使われている企業が香港ハンセン指数に採用が検討されています。

一方で、重複上場企業について、中国本土の証券会社を通じて取引を行なう「港股通」を利用して現時点では取引ができないことから、香港重複上場企業は現状として海外投資資金が大半を占めていることになります。

近い将来、重複上場企業の香港ハンセン指数への採用や「港股通」を通じた重複上場企業への投資が解禁されるとなれば、海外だけではなく、中国本土の投資資金が香港市場に流入することが予想されます。

中国ITを中心に投資する場合は、米中関係の行方が不透明な中、中国本土から資金流入が期待できる香港市場を通じて投資を行なうことが鮮明であると言えそうです。



香港市場への投資はサクソバンク証券がおすすめ

今後、中国本土の資金流入が期待できる香港市場への投資を行なうには、外国株に投資できる証券会社を利用することが重要です。中国株に投資する上で、おすすめできる証券会社としては、欧州投資銀行傘下のサクソバンク証券がおすすめです。

サクソバンク証券 楽天証券 SBI証券 マネックス証券
手数料 0.20% 0.50% 0.26% 0.25%
上海証券取引所 161銘柄 235銘柄 取扱なし 取扱なし
深圳証券取引所 97銘柄 取扱なし 取扱なし 取扱なし
香港証券取引所 1733銘柄 719銘柄 1500銘柄 2058銘柄

サクソバンク証券は、香港証券取引所銘柄1,700以上を取り扱っている他、国内のネット証券では取り扱いが少ない重複上場銘柄の取り扱いも多くあります。また、香港以外に上海証券取引所上場銘柄が100銘柄以上、深圳証券取引所上場銘柄が90銘柄以上扱っています。取引手数料は香港が0.20%、上海と深圳も0.20%で取引できます。

サクソバンク証券公式サイト

株式投資で外国市場に分散投資するにあたり、国内の証券会社であれば取扱銘柄が少ない問題があります。今回紹介するサクソバンク証券は米国と欧州を始めと...

関連記事

中国株の配当利回りはいくら?中国企業の配当金の概要を徹底解説

香港を代表する株価指数「香港ハンセン指数」の概要を解説

米国市場上場の中国ADR上場廃止後の取り扱いと今後の投資方法を考察

中国株を売却して利益が得た場合は譲渡所得として課税されるのか?

中国A株に投資する方法は?間接的に投資する方法と直接投資可能な証券会社を紹介

外貨・ドル送金 留学する方や駐在予定の方はWISEが圧倒的に優位