少額投資非課税制度(NISA)を利用することで、年間120万円までの投資で得た利益に対すて非課税となる税優遇制度が受けられます。節税できるといった利点はありますが、短所についてもしっかりと把握した上で運用することが重要です。今回は、NISAの短所を紹介します。
損失が出た場合において確定申告で損益通算ができない
少額投資非課税制度(NISA)は、年間120万円までの投資で得た利益が非課税となる税優遇制度です。この税優遇制度は利益が出た場合のみにおいてその恩恵を受けられるように設計されており、逆に、損失が発生した場合は少々使いづらい側面もあります。
株式や投資信託を運用した場合、通常では一般口座もしくは特定口座で運用を行いますが、運用で損失が出た場合、利益が出ている銘柄と相殺して確定申告を行なうことで、売却益や配当金、分配金で課税される税金を抑えることができます。
NISAの場合は、売却益が出ても課税されませんので、損失が生じた銘柄が合っても損益通算は難しくなります。そのため、可能な限り、損失が出ないような運用を行なうことが重要となります。
株式の場合は、景気の動向に大きく左右される銘柄や業績不振の銘柄での運用を避ける、1銘柄ですべての投資枠を利用せず、複数の銘柄に分散して運用するとったことが重要になります。
短期間の売買には不向きである
少額投資非課税制度(NISA)は、年間の投資枠が120万円までと決められていますので、短期の売買には不向きとなっています。
短期の売買を行なうと、あっという間に年間の投資枠である120万円に達してしまうことになります。例えば、1回の投資額が30万円の銘柄の場合、年間の投資できる回数はたったの4回となります。そのため、短期売買ではなく、長期で運用可能となりそうな銘柄を選択する必要があります。
NISAで運用する場合において長期投資に不向きな銘柄についての解説は以下の記事で詳しく記載していますので合わせてご覧ください。
また、日本株の場合、1単元あたり100株と売買単位が決められており、銘柄によっては1回あたりの投資額が120万円以上する場合もあります。そのような銘柄はNISAでの運用はできませんので注意が必要です。
一方で、NISAは外国株への投資も可能で、米国株の場合、1株単位で売買が可能となっています。SBI証券や楽天証券、マネックス証券がNISAで米国株を扱っています。
配当金の受け取り方法によっては非課税とならない場合もある
少額投資非課税制度(NISA)は、売却益だけではなく、配当金の受領についても非課税となります。一方で、配当金の受領方法によっては、NISA口座で運用していても非課税とならず課税されてしまう場合もあります。
配当金を受け取る方法としては、株式比例配分方式と登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式、配当金受領証方式の4種類がありますが、配当金を非課税で受け取る場合は、株式比例配分方式を選択する必要があります。
株式比例配分方式は、取引がある証券口座に配当金が入金される方式であります。一方で、それ以外の方式は銀行振込や受領証を持って郵便局などと現金引換となり、口座種別の確認ができないことから、強制的に課税されてしまいます。
NISAでの配当金の受け取りについては以下で解説していますので合わせてご覧下さい。
NISAで運用中の銘柄は他の金融機関に移管ができない
NISAで運用中の銘柄は、他の金融機関に移管することはできません。特別な理由で他の証券会社に移管したい場合は、一度課税口座に移管後に、新しい金融機関に移管することになります。
一方で、NISA口座そのものを他の金融機関に移管することはできます。しかしながら、これまで運用していた銘柄については、移管前の証券会社で非課税で期間終了まで運用することができます。
そのため、取引手数料が高いといった理由で、運用銘柄を移管したい場合は不可能となりますので、運用前に予め取引手数料の金額や投資信託を運用する場合は、取扱銘柄数と販売手数料無料の投信の数などを予め確認しておくことが重要です。
NISAの運用を検討している場合、NISAの利用でお得なサービスを多く提供している証券会社の利用をおすすめします。SBI証券や楽天証券、マネックス証券、松井証券では、NISA口座での株式の売買手数料が無料となるほか、投資信託も販売手数料無し(ノーロード)の銘柄の取り扱いも充実しています。
NISAを運用するにあたって最適な金融機関の選び方については下記記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。