中国株への投資において、投資先企業より配当金を受領した場合、受領額に応じて課税が行われます。今回は、中国株における配当受領時に税制度を解説します。
中国本土企業と香港企業で税制が異なる
中国株に投資するにあたり、配当金を受領した場合の税制度は、中国本土企業と香港企業によって税制度が異なります。
中国株は、香港証券取引所や上海証券取引所、深圳証券取引所を通じて売買を行いますが、特に、香港証券取引所の場合は、中国本土企業と香港企業が上場しており、それぞれ市場が分けられています。
メインボード | GEM | ||
香港H株 | レッドチップ | その他 | |
中国本土企業 | 中国企業香港法人 | 現地企業 | 新興企業 |
香港証券取引所は、メインボードとGEMに分けられますが、メインボードは、中国本土企業が上場している「H株」、中国本土企業香港法人が上場している「レッドチップ」、香港現地企業が上場している「その他」の3つの市場にわけられます。
H株やレッドチップに上場している中国本土企業は、中華人民共和国の税制に基づいて税を徴収します。一方で、その他の香港企業は中華人民共和国香港特別行政区の税制に基づいて税を徴収します。
中国本土企業は10%課税、香港企業は非課税
上海証券取引所と深圳証券取引所、香港証券取引所のH株とメインボードに上場している中国本土企業から配当金が支払われた場合、現地で10%課税されます。
一方で、香港企業の場合は、非課税となりますので、現地での課税はありません。また、英領ケイマン諸島やバミューダ諸島に所在地としている中国企業についても非課税となります。
日本と中国との間に租税条約が締結されており、日本国内に居住している方が中国国内で得た配当所得や利子所得に対しては、中国は10%を超えない税率で課税できると定めています。
国内で配当金を受領する際に20.315%が課税される
中国企業の場合は10%、香港企業の場合は非課税となりますが、国内の証券口座に配当金が振り込まれる際に、国内において、日本株の配当金の受領時と同様に所得税と住民税をあわせて20.315%が課税されます。
中国本土企業から配当金を得た場合は、現地で課税分を合わせると30.315%、香港企業の場合は20.315%となります。
中国本土企業から配当金を受領する際の税率は高くなりますので、後述している通り、確定申告で外国税額控除制度を利用することができます。一方で、香港企業の場合は現地で課税はありませんので、外国税額控除制度の適用はできません。
外国税額控除制度で二重課税を調整
外国税額控除制度は、外国企業より配当金を受領した翌年の3月15日までに確定申告を行うことで、二カ国で課税された税金を、総所得額に応じて控除することで、二重課税を調整するものです。
外国で課税された分を控除するものではなく、年間の総所得金額に応じて限度額が定められています。計算方法は、以下の通りです。
外国税額控除限度額=年間所得税額×外国所得税額÷年間総所得額
一方で、配当控除については、日本国内の企業から受領した配当金に対して適用できる制度でありますので、中国企業より受領した配当金に対して適用することはできません。
https://kabutoshimichi.com/2018/12/20/dividend-deduction/
サクソバンク証券とマネックス証券では中国株を多数取り扱い
中国株に投資する場合、取扱銘柄が豊富であることと取引手数料が安価な証券会社を選ぶことが重要です。
国内で中国株の取扱銘柄が多い企業としてはデンマーク投資銀行傘下のインターネット証券であるサクソバンク証券の他、マネックス証券となります。
サクソバンク証券 | 楽天証券 | SBI証券 | マネックス証券 | |
手数料 | 0.20% | 0.50% | 0.26% | 0.25% |
上海証券取引所 | 161銘柄 | 235銘柄 | 取扱なし | 取扱なし |
深圳証券取引所 | 97銘柄 | 取扱なし | 取扱なし | 取扱なし |
香港証券取引所 | 1733銘柄 | 719銘柄 | 1500銘柄 | 2058銘柄 |
サクソバンク証券は、香港証券取引所上場銘柄に加え、上海証券取引所と深圳証券取引所に上場している銘柄を取り扱っています。また、マネックス証券は香港証券取引所に上場している銘柄を2,000銘柄以上取り扱っています。
手数料はサクソバンク証券が香港証券取引所上場銘柄は0.20%、上海、深圳証券取引所上場銘柄も0.20%、マネックス証券は0.25%に設定されており、国内でもお得に取引可能です。