上場企業に投資する場合、株式の持分比率を確認し誰が多く株を持っているかを確認することが重要です。今回は、創業者や社長といった経営者の持分比率が高い上場企業に投資する利点と短所をお伝えします。
上場企業の株式持分比率によって将来的な経営が変わる
上場企業は、株式を公開することで多くの投資家から資金を調達して事業活動を行います。上場企業は、株式全てが公開されているとは限らず、創業者や社長などの経営者が大株主となって株式の大半を握っており、その一部だけを公開している場合などがあります。
また、近年問題となっている親子上場においても、親会社が大半の株を握っており、その一部のみが公開されている状況であります。
株式会社は株式を多く握っているとその経営に対する影響度が強くなることから、投資する前に、あらかじめ大株主を確認しておき、だれが株式を握っているのかを知っておくことが重要です。
特定の大株主が存在する場合、その大株主の意向が経営に影響を与え、今後の経営状況や株価の状況にも影響が及びます。
株主と同じ目線に立った経営が期待できる
創業者や社長が株式の大半を握っている上場企業に投資する利点としては、株主と同じ目線に立った経営が期待できる点にあります。
株式を多く持っていることは、その他の株主と同様に株価の動向が個人的な資産の推移に左右されることになります。
したがって、創業者や社長としても株価を上げていきたいという思いが強く、昇進して社長になった上場企業に比べると、株価への関心も高く、市場に評価されるように経営を進めていくことが期待できます。
迅速な経営判断が期待できる
創業者や社長の持分比率が高い場合、経営への影響度としては強くなりますので、迅速な経営判断を行うことが期待できます。
株式の持分比率が複数分散している場合において、それぞれの意見や要求が異なると、承認を得る作業が必要になるなど、経営判断を行うことに時間を要してしまうことになります。
迅速な経営判断が行い、結果が出れば、その分市場でも評価されれば株価の上昇していくことも考えられます。
経営者の爆走懸念や企業統治不全の懸念があり
経営者の持分比率が高い企業は株価が上昇しやすいとい言われることも多いですが、持分比率が高いことは少数の株主の意見が通りにくくなることで、経営者の爆走が食い止められず誤った経営判断を見逃してしまうことなど、企業統治(コーポレートガバナンス)の視点で大きな懸念があるのも事実です。
外国人投資家や国内の機関投資家の持ち分が少なく、経営者本人を含め個人投資家の持分比率が高い場合については、その懸念はさらに強まると言えます。
そのため、経営者の判断が誤った場合は、株価も当然下がります。また、場合によっては上場企業と言えども、企業が私物化され、株主の利益が吸い取られるといったことも考えられます。
そのため、経営者の持分比率が高い企業に投資する場合は、役員の構成や社外取締役の独立性、監査人の独立性、その他、外国人投資家や機関投資家の持分比率、その経営者本人の人柄や普段の行動をしっかりと見極めた上で投資判断が必要になると言えます。
経営者の持分比率が高い企業はハイリスク・ハイリターンな投資となることを肝に銘じて置く必要があります。