2020年1月に中国で新型肺炎コロナウイルスが発見され、世界中で死者が出るなど世界経済にとって大きな影響を与えたのは記憶に大きく残りました。今回は世界で感染症が拡大した時における株式市場への影響について考えてみます。
感染症拡大は世界経済にとって無視できない脅威に
2020年1月中国武漢を発祥とした新型肺炎コロナウイルスが東アジアを中心に感染する人が増えており、北米や欧州でも感染者が発見されるなど、世界的に感染者が拡大し、都市封鎖などの措置が行われ経済活動も大きく制限されたのは記憶に大きく残る出来事となりました。。
感染症については、これまで経済活動にとってあまり重要視されていませんでしたが、近年では、飛行機で世界各地で短時間で行くことができる環境が整うなど、人や物、金の移動が地球規模で動く時代となっています。
飛行機での渡航が一般的でなかった頃も感染症の記録は残っていますが、特定の地域に限定されるなど規模の拡大は一定地域にとどまっていましたが、現代では、飛行機の発達で、感染症が世界各地に拡大するリスクは特段大きくなっています。
2002年から2003年にかけて中国南部を中心に発症した重症急性呼吸器症候群(SARS)においては、世界で8,000人程度が感染したほか、2012年に中東で発症した中東呼吸器症候群(MERS)は2500人程度が感染したと言われています。
感染症拡大時における株式市場における影響
感染症が拡大した場合において株式市場における影響としては、感染を懸念して人々が外出を控える動きが増えることや、拡大防止措置がとられることから、人や物の移動が最小限となり、当然ながらお金の動きも限定的になり経済へ悪影響が考えられるため、株式市場にとっては下落の要因となります。
2002年1月から2003年にかけての香港ハンセン指数株価推移
中国で重症急性呼吸器症候群(SARS)が発症した報告された2002年11月から2003年3月の間における株価指数の値動きとして、米国のNYダウが約11%下落、日経平均株価が約9%、香港ハンセン指数も9%程度下落しています。
当時はITバブルが崩壊後ということもあり、世界全体の株式市場が低迷していた時期と重なりますが、感染症の拡大が続くことになれば、多くの銘柄に売りが広がり、株式市場にとっては良い影響は全く無いと言えるでしょう。
空輸業や旅行業の他、小売業、飲食業、娯楽業を中心に売られる
世界で感染症が拡大したい場合、売られやすい銘柄としては、まず空輸業や旅行業が挙げられます。
感染への感染を懸念して人々が移動を控える動きや、出張などの取りやめが相次ぐことが予想されることから、空輸業への業績低下への懸念が高まります。また、関連して旅行取りやめが相次ぐことで旅行業への業績悪化につながります。
新型肺炎発症時2020年1月から過去1年間の中国国際航空(601111)の株価推移
また、関連して人々が外出を控えることが加速することで、小売業や飲食業、娯楽業を中心に来客が減ることで業績低下に繋がります。
一方で、感染症に感染した患者が増えれば、入院などが増えることになり支払う医療費が増えることになります。そのため、感染症に効力がある薬品を提供している製薬会社の株は買われる傾向にあります。また、感染予防のため、マスクなどを提供している日用品会社の株も買われる傾向となります。
しかしながら、医療費が増えることなれば、保険金の請求が増えることになりますので、金融業の内、保険会社が支払う保険が増えることになり業績の低迷を懸念して、株が売られる傾向にあります。
日本株の場合は、為替における影響も無視してはいけません。感染症が拡大すると、安全通貨とされる日本円が買われることで、為替が円高となり、製造業への業績低下の要因になることから、日本株が全体的に売られることも考えられます。
変動リスクを抑えるには分散投資と、長期投資は買い時の見極めを
感染症が拡大したい場合、多くの銘柄が下落することになりますが、重要なのは複数の国や業種別に分散した投資を行うことで価格変動リスクを抑えられます。一方で、感染症がある程度収まると、株価は先を折込回復傾向となりますので、しっかりと買い時を見極めることも重要です。
株式投資を行うに当たり、ネット証券であるサクソバンク証券やSBI証券、マネックス証券、楽天証券を活用することで、手数料を抑えて投資ができる他、日本だけではなく、外国株の取り扱いもありますので、国別の分散投資も可能です。