日本の株式市場は外国人投資家が約7割と市場における影響力は高いものがあります。個別銘柄において外国人投資家の比率が多いものも散見されますが、外国人投資家が多い銘柄は個人が投資しても大丈夫なのか気になる声も多いです。
今回は外国人投資家が多い銘柄に投資する上での利点と注意点を解説します。
外国人投資家が好む銘柄とは?
2018年度東証1部50社の投資者の割合
日本の株式市場は、現在約7割が外国人投資家によって売買されています。外国人投資家は、主に外国に拠点を構えている機関投資家や個人投資家のことで、年金を運用している年金基金の他、投資信託を受託して運用している金融機関、ヘッジファンドなど様々です。
日本の株式市場において、個人投資家は2割程度しかおらず、個人投資家が日本株に投資する上では外国人投資家の動向をしっかりと把握することが重要となります。
外国人投資家は、大量に売買を行うため、流動性が高い売買高が高い銘柄を好んで売買を行います。そのため、大手企業で個人の間でも知名度が高い銘柄であれば、すでに外国人投資家が多くの株式を保有していることは珍しく有りません。
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BtoB向けの事業を展開している大手企業は外国人投資家の比率が高い傾向に
IT見本市シーテック・ジャパンの村田製作所ブース(筆者撮影)
外国人投資家の比率が高い銘柄の傾向としては、時価総額が大きく企業向けに事業を展開しているBtoB事業を展開している企業となります。
一方で、個人投資家が投資する企業の傾向としては、個人向けにサービスを提供しているBtoC事業を展開している企業が中心となりますが、BtoB事業を展開している企業の場合、個人向けに広告宣伝を行っていないことも多いことから個人からの知名度が低いことが挙げられます。
また、1単元あたりの投資額が大きい銘柄も多く、個人の資力では投資しづらい銘柄が多いこともあります。さらに、株主優待制度が導入されていないなどで疎遠される傾向があります。
例えば、電子部品の村田製作所(6981)の外国人投資家比率は39%である一方で個人投資家の所有比率は15%となっています。ファクトリーオートメーション(FA)機器製造のファナック(6954)の外国人投資家比率は50%で個人投資家は11%となっています。
相場状況を判断し適切なタイミングで投資することが重要
外国人投資家が多い銘柄の場合、個人からすると投資しても大丈夫なのかといった疑問の声が聞かれます。外国人投資家が多い銘柄の場合は、株主還元やガバナンス体制など株主重視の経営が行われていることが多く、銘柄にもよりますが長期的に保有したい場合においても安心して持てるのではないかと考えています。
一方で、外国人投資家が多い銘柄は景気の動向に左右されやすい銘柄も多く、投資の適切なタイミングを判断することが一番重要であると考えています。
景気が悪くなるタイミングでは、外国人投資家は保有比率を下げる傾向にあり、一気に株価が下落することも珍しく有りません。そのため、個人が後から参入して高値掴みをしてしまうことも多いのも事実です。
そのため、相場状況が思わしくなく、外国人投資家が資金を引き下げているタイミングなどで投資を開始し、景気回復の予兆が見え始めた段階で外国人投資家が再度資金を流入するのを待ち、株価が上昇するのを待ちます。(相場が悪いときはしばらくの間、株価が乱高下する場合もありますので注意が必要です)
この方法は、長期投資でも中短期でも有効な方法で、中長期の場合は外国人投資家の資金流入が増えた段階で売却すれば利益がでますし、長期投資の場合は、過去10年程度の業績状況をチェックし景気の良し悪しで業績の影響度と株価への影響を調べ、過去の配当金の支払額の推移を確認し、長期的に投資できるか判断することが重要です。
外国人投資家の動向を知る方法については、以下の記事で詳しくまとめていますので合わせてご覧ください。
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