将来に向けて資産運用を始めたいと考えている際、ロボアドと確定拠出年金(iDeCo)はどちらで運用すべきか悩んでいる方も多いかと思います。今回は運用目的別にどちらで運用すべきか考えてみました。
ロボアドと確定拠出年金(iDeCo)の違い
ロボアド
ロボアドは、ロボットを利用して、運用者のリスク許容度を判定し、それに基づいて自動で運用する資産運用サービスです。代表的なサービスとしてウェルスナビや、楽天証券の楽ラップがあります。
海外の証券取引所に上場している、特定の指数に連動するように銘柄を組み入れて上場している上場投資信託(ETF)を活用します。運用資産としては国内外の株式の他、債券、不動産、商品などを組み入れており、運用のリスク許容度に応じて、自動でこれらの資産の組入比率が調整されます。
ロボアドを始めるには初期投資額が必要となりウェルスナビとTHEO、楽ラップ共に10万円が必要です。毎月1万円以上1000円単位で積立も可能です。運用手数料も現金部分を除く1%(税込1.1%)程度発生します。
また、将来的に現金として受け取る場合、利益が出ていた場合は、譲渡所得として課税対象となります。
確定拠出年金(iDeCo)
確定拠出年金(iDeCo)は、政府が提供している年金制度の一つで、老後の資金を運用する目的で、既存の年金制度に上乗せして運用するものです。
日本の年金制度は、第一段階として「国民年金(基礎年金)」第二段階として「厚生年金」、「国民年金基金」、第三段階として今回紹介している「確定拠出年金(iDeCo)」の他、「確定給付企業年金」、「厚生年金基金」があります。
確定拠出年金を始めるには、初期投資額は必要なく、加入時手数料として最低2,777円が必要になります。また、毎月5,000円以上1,000円単位で積立も可能と、運用を行う上では大きな資金は不要です。また、状況に応じて積立を一時停止するといったこともできます。
更に、国の制度でありますので各種税優遇制度が適用可能で、確定拠出年金を拠出した分は全額所得控除が適用できる他、運用益に対して非課税、受取時も公的年金等控除、退職所得控除が適用できます。
一方で、一度運用を始めた場合は60歳になるまで引き出すことはできませんので注意が必要です。
運用目的が将来の資産形成であればロボアドを活用して運用
ロボアドと確定拠出年金(iDeCo)については、運用目的を明確にした上で使い分けることが重要で有ると考えています。
単純に老後資金ではなく、将来的に資産形成をしたいと考えているのであれば、ロボアドを使うことをおすすめします。
ロボアドであれば、将来的にまとまったお金が必要になったときに、売却の指示を出して現金として出金することが可能です。一方で、確定拠出年金(iDeCo)の場合は、減速60歳になるまで出金はできませんので、単純な将来的な資産形成を目的とした運用には不向きとなります。
ロボアドは前述したとおり、ウェルスナビとTHEO、楽ラップなどがありますが、運用資金が10万円以上とある程度まとまった資金を運用したいと考えるのであれば、ロボアドでの運用をおすすめします。
ロボアド各社の詳細については、各社の公式サイトもしくは記事をご覧ください。楽ラップについては、はじめに楽天証券への口座開設が必要です。
ウェルスナビ
ウェルスナビは初期投資額10万円から始められるロボアドサービスです。毎月1万円以上1円単位で積立投資もできます。
約6問の質問に回答するだけでリスク許容度を判定し、それに合わせて自動運用を行うほか、税金の繰り延べができる自動税金最適化機能(DeTAX)により無駄な税金の支払いが削減できるのも特徴です。
THEO
THEOは初期投資額10万円から始められ、毎月1万円以上1000円単位で積立投資も可能です。一方で、THEOがNTTドコモと提携して提供しているTHEO+docomoは初期投資額1万円から利用できます。手数料形態も運用残高に応じて1%から0.5%まで残高が増えるごとに段階的に引き下げられ、運用残高が増えれば増えるほど低コストに運用できるのも特徴です。
楽ラップ
楽ラップは楽天証券が提供しているロボアドサービスで、初期投資額が10万円以上で始められ、毎月1万円以上1円単位で積立投資も可能です。
口座開設時に16問程度の質問に回答することでリスク許容度を細かく判定可能で、一人ひとりに見合ったポートフォリオで運用可能です。
運用目的が老後資金の確保であれば確定拠出年金(iDeCo)を利用する
運用目的が公的年金の受取額を手厚くしたいなど老後資金を確保したいと考えるのであれば、確定拠出年金(iDeCo)を活用することをおすすめします。
特に、確定拠出年金(iDeCo)を利用して、運用益が得られた場合、先程お伝えしたロボアドや個別株での投資であれば、譲渡所得として課税されるのに対して、これらが全て非課税となりますので、老後にまとめて受け取ろうと考えている場合は、税負担を軽減することができます。
また、運用資金を60歳になり受け取る場合、他の公的年金の受け取りと合算して公的年金等控除が受けられる他、確定拠出年金で運用した資金を一時金として受け取る場合、企業の退職金と合算して退職所得控除の適用ができます。
さらに、月々積み立てた金額については所得控除も適用できますので、毎年の所得税の負担も軽減できます。
確定拠出年金(iDeCo)は、少額から始めることができますので、また老後まで時間が樹分にあり資力も少ない若年層であってもあれば最低の5,000円から始めることが可能です。
確定拠出年金(iDeCo)を始めるには、金融機関に確定拠出年金(iDeCo)専用の口座開設が必要になります。SBI証券や楽天証券、マネックス証券、松井証券といったネット証券を活用するといつでも口座開設手続きができる他、加入時の手数料も2,829円から、毎月171円と低コストで運用できるのも特徴です。
ネット証券各社の詳細については、以下の公式サイトをご覧いただくか、以下にネット証券各社のコストと取り扱い銘柄数などを比較した記事を記載していますので合わせてご覧ください。