老後の年金が2,000万円不足するとの報道より動揺が広がり確定拠出年金(iDeCo)へ加入する方が増えています。確定拠出年金(iDeCo)は、既存の年金に上乗せして運用する年金制度です。
確定拠出年金(iDeCo)を運用する場合は、証券会社など金融機関へ申し込みが必要ですが、今回はネット証券5社の確定拠出年金(iDeCo)の手数料と取扱銘柄数を比較してみました。
確定拠出年金(iDeCo)とは?
確定拠出年金(iDeCo)は、既存の公的年金に上乗せして運用する年金制度で、必要に応じて年金加入者が任意で運用するものです。
日本の年金制度は3段階に分かれており、第一段階として「国民年金(基礎年金)」、第二段階として「厚生年金」や「国民年金基金」、第三段階として、今回紹介している「確定拠出年金(iDeCo)」の他、「確定給付年金」、「厚生年金基金」があります。
確定給付年金(iDeCo)は、職業(加入している公的年金)によって毎月の掛金(積立額)が異なります。会社員の場合は国民年金と厚生年金に加入していますので、毎月の掛金上限額は2万3,000円となります。一方で、国民年金のみに加入している自営業のかたであれば、毎月の掛金上限は6万8,000円となります。
確定拠出年金(iDeCo)では、運用成績に応じて将来的に受け取れる金額が異なってきます。しかしながら、運用で得られた利益については非課税となるほか、公的年金等控除、退職所得控除の対象となります。また、運用中においても所得控除が掛金の全額適用できるなど税優遇制度も用意されているのもメリットの一つです。
確定拠出年金(iDeCo)についての詳細は以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
ネット証券5社の確定拠出年金(iDeCo)の手数料
確定拠出年金(iDeCo)を始めるときと運用中において手数料が発生します。
はじめに加入時に発生する手数料としては「加入手数料(移管時手数料)」、運用中に発生する手数料として口座管理手数料と信託報酬があります。信託報酬については、運用商品によって異なります。
加入手数料(移管時手数料)
加入手数料(移管時手数料)は、確定拠出年金(iDeCo)の運用管理を行う国民年金基金連合会に支払う手数料と金融機関が独自に設定した手数料が合算されます。そのため、国民年金基金連合会に支払う2,829円(税込)は最低支払う必要があります。
口座管理手数料
口座管理手数料については、毎月支払うもので、国民年金基金連合会に支払う手数料と、運用中の資産管理と事務作業を行っている事務委託金融機関(信託銀行)に支払う手数料、ご自身が契約した金融機関が定めた手数料が含まれています。最低でも国民年金基金連合会に支払う105円(税込)と事務委託金融機関に支払う66円(税込)の合計171円の負担が必要になります。
給付事務手数料
運用した確定拠出年金(iDeCo)を年金として受け取る場合においても手数料が発生します。給付1回につき440円(税込)が発生します。
SBI証券 | 楽天証券 |
マネックス証券 | 松井証券 |
|
加入手数料 | 2,829円 | 2,829円 | 2,829円 | 2,829円 |
口座管理手数料 | 171円 | 171円 | 171円 | 171円 |
給付事務手数料 | 440円 | 440円 | 440円 | 440円 |
ネット証券各社の手数料一覧(税込)
SBI証券と楽天証券、マネックス証券、松井証券
の4社の確定拠出年金(iDeCo)の手数料を上記表にまとめました。ネット証券4社ともに手数料水準は同様となっており、各社ともに最低手数料のみ請求となっています。
確定拠出年金(iDeCo)で必要となる手数料については以下の記事で紹介していますので合わせてご覧ください。
確定拠出年金(iDeCo)で運用できる取扱銘柄数
確定拠出年金(iDeCo)で運用できる取扱銘柄数は証券会社によって異なります。
SBI証券 (オリジナルプラン) |
SBI証券 (セレクトプラン) |
楽天証券 |
マネックス証券 | 松井証券 |
|
投資信託 (国内株式) |
9本 | 6本 | 6本 | 7本 | 2本 |
投資信託 (国内債券) |
1本 | 1本 | 2本 | 1本 | 1本 |
投資信託 (外国株式) |
9本 | 13本 | 4本 | 5本 | 1本 |
投資信託 (外国債券) |
1本 | 3本 | 3本 | 2本 | 1本 |
投資信託 (新興国株) |
2本 | 1本 | 1本 | 1本 | 1本 |
投資信託 (新興国債券) |
1本 | 1本 | 1本 | 1本 | 1本 |
投資信託 (REIT) |
2本 | 2本 | 3本 | 3本 | 2本 |
投資信託 (複合型) |
11本 | 8本 | 10本 | 3本 | 1本 |
投資信託 (商品) |
1本 | 1本 | 1本 | 1本 | 1本 |
預金 | 1本 | 1本 | 1本 | 1本 | 1本 |
合計 | 38本 | 37本 | 32本 | 25本 | 12本 |
ネット証券各社の運用名が取扱数(2021年5月時点)
※SBI証券のオリジナルプランは除外予定商品は除いて記載
ネット証券各社の取扱銘柄数を見てみるとSBI証券がオリジナルプランとセレクトプランをあわせて73本以上と圧倒的に豊富な取り揃えとなっています。(SBI証券のオリジナルプランは2021年1月より受付停止)
もともとはオリジナルプランのみで63本程度の運用商品を揃えていましたが、2018年5月の制度改正により運用商品の取り扱い数に上限が設けられたことで、新たにセレクトプランを新設して低コストと多様性にこだわった運用商品を取り揃えています。(オリジナルプランとセレクトプランの併用はできませんのでご注意ください)
特に信託報酬が年率0.11%程度と安く低コストに運用できる三菱UFJ国際投信が運用する低コストで運用できるインデックスファンド「eMAXIS Slimシリーズ」が追加されています。
その他、楽天証券とマネックス証券、松井証券
は取扱銘柄数は限られますが、運用手数料やこれまでの実績をしっかり踏まえた銘柄を厳選して取り扱っています。各社の詳細については以下公式サイトもしくは記事をご覧ください。