株主提案権とは何か?株主の立場として知っておきたい内容とその事例

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株主総会の時期が近づくと、総会の開催にあたり招集通知が遅くても2週間前までに郵送されます。招集通知に各議題が記載されていますが、その中に株主提案となる議案の記載も見受けられる機会も増えています。今回は、株主の立場として知っておきたい内容と株主提案の直近の事例を詳しく説明します。

株主が総会の一定の事項を議題として取り上げを請求できる権利

株主提案権とは、一定の条件で議決権を有する株主が、対象の企業に対して株主総会時に一定の事項を議題として取り上げることを請求できる権利です。

企業の株主になれば、対象の企業の経営に参加することが可能となりますが、後述している条件を満たすことで、株主が企業に対して要求事項を総会時に取り上げてもらい、賛否を募ることができます。

株主提案権には、議案通知請求権として株主が求める議題を招集通知に記載することを求める権利の他、議案提案権として、対象となる議題を議案として提出することができる2つの権利を有しています。



株主提案権は6月前より議決権1%以上または300個の議決権を有すること

株主提案権は、対象の企業の株主になれば誰でもその権利が付与されるわけではありません。

株主提案権を有するには、6ヶ月前より対象企業の総株主の1%以上の議決権を有していること、または、300個の議決権を有している必要があります。

そのため、議決権を1個もしくは2個保有している個人株主の場合は、株主提案権は付与されないことになります。しかしながら、複数の株主が議決権を合算して、一定の条件を満たすことで、複数株主による共同提案として請求することが可能です。

また、議題提案権および議案通知請求権を行使するには、株主総会が開催される8週間前に実施する必要があります。

ただし、株主提案を受けた企業は、すべての提案に対して取り扱う必要はなく、当然ではありますが法令に違反する内容や、株主提案を行って議決権の10分の1以上の賛成を得られず秘訣された場合、同一の提案については3年以内は行えない事になっています。



株主提案の主な事例

株主提案として良く見られる事例としては、定款変更や取締役の選任・解雇、配当金に関する提案が多く見受けられます。

近年では、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化や、国内でも物言う株主の台頭などで、株主還元を求める株主提案が目立っています。

LIXILグループ(5938

2019年においては、LIXILグループ(5938)は、瀬戸欣哉氏を代表取締役に再任する株主提案を行い、25日の株主総会で賛成が53%に達したことで瀬戸氏が代表取締役として復帰する形となりました。

同社は、イタリアの建材子会社ペルマスティリーザの減損損失の影響で責任を追求される形で会社側からの要求で瀬戸欣哉氏が一時経営から手を引く格好となりましたが、コーポレート・ガバナンスが機能していないとの指摘が外国人投資家を中心に声が上がったことで、今回の株主提案が行われる事になりました。

瀬戸氏は、これまで工具通販のモノタロウ(3064)の立ち上げなどに寄与したことで、これまでの実績を買われて、2016年よりLIXILグループの代表取締役を努めていました。

JR九州(9142)

JR九州(9142)に対して、同社株約6%を保有する米投資ファンド「ファーツリー・パートナーズ」が発行済み株式の10%、総額720億円を上限とする自社株買いを求めていましたが、会社側は企業価値が毀損するとの理由で、21日の株主総会において否決されています。

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