株主総会の時期が近づくと、株主総会の招集通知と一緒に議決権行使書が送られてきます。議決権行使書には株主総会の議案内容に対して賛否を記載する用紙となりますが、この議決権行使は行わないと何が問題になるのか気になっている方も多いかと思います。
今回は、株主総会の議決権行使を行わない場合、何が問題となるのか考えてみました。
株主総会とは
株主総会とは、株式を発行している企業が、株主に対して今後の会社の経営方針について話し合い、将来的な方向性を決めるための会議です。株主になるということは、その会社の一部を保有することになりますので、その方向性についてしっかりと検討し、ご自身の利益につなげていく必要があります。
そのため、株式会社の場合、会社の方向性について会社が勝手に決めて実行していくのではなく、株主にもしっかりとご理解頂いた上で、事業活動を行う必要があります。
そのため、株主総会においては、予め話し合われる内容として議案が提示され、その内容に賛成もしくは反対を投票するものになります。
日本の個人投資家の議決権行使率は54%
株主となれば、機関投資家や個人問わず議決権行使書を通じて議決権行使が可能となりますが、日本国内の個人投資家は議決権行使はどれ位の割合で行っているのかを調べてみました。
野村ホールディングスが公表している「ノムラ個人投資家サーベイ2018年9月号」に記載されているデータによると、2018年6月の株主総会における議決権行使率は54.1%としており、約半数の個人株主が議決権行使していることがわかります。そのため、2人に1人は議決権を行使していることになり、個人の間でも行使は行われていることがわかります。
一方で、議決権を行使しない理由としては、「面倒である」、「行使しても影響が無い」との回答が32.9%を占めているとしており、これは選挙に行かない理由とほぼ同じ理由となっていることがわかります。
議決権行使しなくても直接の問題は無いが長期投資であれば行使することを推奨
議決権行使については、個人投資家が行使をしなくても株主としての権利がなくなる、配当金が受け取れないなど何かしらのペナルティがあるわけではなく、あくまでも個人の意思表示であるため、強制力が及ぶものではありません。
ただし、企業によっては議決権行使を行った方のみに株主優待をお送りする企業もたまにありますので、直接的にまったく問題がないわけではありません。
議決権行使については短期売買など投資目的によっては議決権行使を行わないという選択肢があっても良いと考えていますが、投資目的が長期で投資したい、企業活動を支えたいというのであれば、議決権行使を行うことをおすすめします。
ご自身の意思表示の有無で企業の今後の方向性が決まることもあります。あまりにも、議決権行使の数が揃わなかった場合、可能性は低いですが株主総会が開催できないことになります。また、これを理由にガバナンス体制が疑われ株価の下落につながる、最終的にはガバナンスが行き届かず不祥事が発生して株価が暴落し損失がでるなど、長期的な目線で見ると何かしらの形で株主にとってマイナスの影響として帰ってくることにつながります。