18日に少額投資非課税制度(NISA)を活用して株式投資を行う上で、長期投資に最適な銘柄の特徴についてお伝えしました。長期投資を行うには業績が伸びておりその恩恵を株主還元などで受けられる銘柄に投資することが重要となります。今回は、逆にNISAなどで長期投資を行う上で不向きとなる銘柄の特徴を見ていきます。
景気の変動に業績が大きく左右される景気敏感株
長期投資を行う上で、不向きな銘柄としては景気の変動に業績が大きく左右されてしまう景気敏感株です。
これは日本の景気だけではく、世界の景気も同様で、経済は世界的につながっている昨今では外部環境が悪化すると日本の景気にも影響します。日本の企業は物を作って世界中に売る「製造業」が多く、物を作ってそれを売らなければ業績は向上しません。
世界でリーマンショックのように景気が低迷する場面があると、個人や企業を問わず物を購入する設備の導入を控える傾向が増えてしまいます。そのため、製造業が多い日本においてもその影響を大きく受けやすい特徴があります。
景気の変動に業績が左右されやす業種としては、自動車製造業や電気機器・半導体、化学、鉄鋼などがあります。
金利や為替の変動に業績が大きく左右される銘柄
金利や為替の変動に大きく業績が左右される銘柄も長期投資には向いていないと言えます。
金利については金融株が該当します。特に銀行の場合、顧客に貸し出した際に得られる金利と顧客からの預かり資産に応じて支払う金利差で収益を得ていますので、金利が低下した場合、銀行が得られる収益が減少してしまいます。2016年2月に日銀がマイナス金利政策を導入したことで、銀行各社の経営は厳しくなっています。
為替については、前述した景気敏感株と同様ですが、作った物を世界に販売する場合、必ず為替の影響を受けます。もちろん、海外から日本へ輸入する場合も同様です。特に製造業の場合、為替が円高になると日本円に換算した場合、円安のときと比べて収益が減少します。
例えば、自動車を1ドル110円のときに1万ドルで販売した場合、日本円で110万円となりますが、これが円高となり1ドル100ドルになった場合、日本円に換算すると100万円となり、ここで10万円収益が減ることになります。円高になると業績に影響を受けるのは自動車や電気機器、半導体が多いですが、逆に、円安に影響を受けやすいのは海外から物を輸入して販売する小売業や材料を海外から仕入れる食品などが該当します。
為替の変動要因については以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
商品価格の変動に業績が大きく左右される銘柄
石油価格など商品価格の変動に業績が大きく左右されやすい銘柄も長期投資には不向きな銘柄であると言えます。
例えば、石油を活用して事業を行う空輸や運輸、電気、ガス、製造業な幅広いですが、原油価格が上昇すると調達コストが上昇しますのでその分利益を圧迫する要因となります。一方で、ガソリンスタンドなどを経営している石油株や資源を取り扱っている商社など石油を調達して販売している企業であれば、原油高は業績向上に繋がります。
また、その他、金属やとうもろこし、小麦など商品も幅広いですが、事業でこれらを原材料として取り扱っているのであれば、それらの価格に業績が左右されやすいと言えます。
電気・ガス・通信などディフェンシブ銘柄
電気やガス、通信など景気の動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄も長期投資には向いていないと言えます。
ディフェンシブ銘柄となっていますので長期投資には最適であると考える方も多いですが、電気やガスは前述したとおり、石油などの燃料を調達してサービスを提供しますので、価格に左右されやすい特徴があり、必ずしもディフェンシブ銘柄とは言えません。
また、ディフェンシブ銘柄の多くは人々の生活に欠かせないインフラを担っていますので、事故や障害を起こしてしまうと、規模にもよりますが、人々の生活や経済活動に大きく影響を及ぼしてしまい、場合によっては多額の損害賠償のリスクもあり、収益低下の要因にもなります。2011年3月に発生した東日本大震災の津波を起因とした福島第一原発の事故で、東京電力の株価は大幅に下落しました。
人々の生活に欠かせないものである故、値下げ要請などがあれば収益低下に繋がってしまうリスクもあります。最近では携帯電話料金の値下げを要請したことで、通信株全体が下落したのは記憶に新しい出来事です。
政府や親会社などが株の保有割合が多い銘柄
政府や親会社など特定の組織が多く株を保有していいる銘柄についても長期投資には不向きであると言えます。
日本は政府が株を保有している銘柄も多いですが、株を多く保有していることは、大株主の意向に経営が反映されやすく、少数の株主の意見が通りにくい問題があります。そのため、収益が低下してしまっても、経営改善の判断が大株主の意向に委ねられるデメリットがあります。
日本では親子上場も多いですが、この問題については別途取り上げたいと思いますが、大株主に利益が多く行き渡り少数の株主の利益が小さくなるなど利益相反の問題があります。企業統治の改善が更に求められる中、親子上場についても今後厳格化していくべきであると考えています。