老後の資産形成を後押しする目的で確定拠出年金制度(iDeCo)の加入対象者が広がりました。基本的には毎月一定額を拠出することで、積立形式で運用を行いますが、2018年1月より年単位での一括拠出も可能となっています。今回は、確定拠出年金(iDeCo)の拠出方法について解説します。
毎月拠出する「月単位拠出」と年間一括で拠出する「年単位拠出」から選択可能
確定拠出年金(iDeCo)は、老後に備えた資産形成手段として、既存の年金制度に上乗せして運用を行う制度です。更に、所得税より全額控除の適用ができる他、運用益が非課税となるなど税優遇の面においても優れているのが特徴です。将来的に受け取る場合、運用成果に応じて受取額が異なってきます。
iDeCoは毎月積立形式で運用する「月単位拠出」と、年間まとめて一括で拠出する「年単位拠出」が可能となっています。
月単位拠出
iDeCoの運用方法として一般的なのが月単位で積立形式で運用する「月単位拠出」です。
毎月拠出金額は毎月最低5,000円から1,000円単位で積立形式で拠出することが可能となっています。ただし、最大の拠出額は職業によって、加入している年金制度が異なりますので、上限が異なっています。
公務員:1万2,000円
会社員(企業年金あり):1万2,000円、2万円
会社員(企業年金なし):2万3,000円
専業主婦(夫):2万3,000円
自営業:6万8,000円
例えば、第一段階の国民年金に加え、第2段階の厚生年金に加入している公務員や会社員の場合、毎月の拠出額の上限はやや低めに設定されています。公務員や企業年金がある会社員の毎月の拠出額上限は1万2,000円となっています。一方で、企業年金制度が無い会社員の場合は上限が2万3,000円となります。
一方で、国民年金のみに加入している自営業者などの場合は、毎月の拠出額は6万8,000円となります。ただし、第2段階の国民年金基金に加入している場合は、上限額の6万8,000円から国民年金基金の毎月の拠出額を差し引いた、残りの金額がiDeCoで拠出できる上限額となります。
年単位拠出
2018年1月より月単位の拠出に加え、年間に一括でまとめて拠出できる制度が新たに導入されました。前述下通り、職業によって毎月拠出できる金額は異なっていますが、各職業に合わせて年間拠出できる最大額であれば、ボーナス月にまとめて一括で拠出する、月単位の拠出に加え、ボーナス月のみ少し多く拠出するといったことが可能となります。
企業年金なしの会社員の場合、毎月の上限拠出額は2万3,000円となり、年間拠出できる最大の拠出額は27万6,000円となります。
例えば、毎月1万円拠出しているとして、ボーナスが支給される月である7月と12月のみ多く拠出したい場合、7月と12月に毎月の拠出額1万円に加え、7万8,000円をプラスして拠出することが可能です。
もちろん、年末にまとめて27万6,000円を一括で拠出するという方法も可能です。
掛金拠出方法を変更するには手続きが必要

iDeCoでは月単位拠出と年単位拠出の2つから選ぶことができますが、拠出方法を変更する場合、iDeCoの口座を保有している金融機関に連絡して「加入者月別掛金額登録・変更届」を取り寄せ、必要事項を記入した上で、手続きが必要になります。
また、掛金拠出方法を変更する場合、原則として年間1回のみとなりますので注意が必要です。
毎月一定額を拠出したい方は「月単位拠出」、ご自身の都合に合わせて拠出する場合は「年単位拠出」
iDeCoは月単位拠出と年単位拠出の2つから拠出方法が選べますが、ご自身の生活状況や収入などに合わせて拠出方法を選ぶことが重要です。
毎月一定額を拠出したい場合は、従来どおり「月単位拠出」を選ぶと良いでしょう。一方で、ボーナスなどまとまった金額を拠出したい、毎月ではなく年間1回のみの拠出にしたいなど、ご自身の都合に合わせて拠出回数や金額を選択したい場合は「年単位拠出」を選ぶと良さそうです。
確定拠出年金(iDeCo)の金融機関選びはコストが重要
確定拠出年金の運用を低コストにするには、SBI証券や楽天証券
、マネックス証券、松井証券
といったネット証券を活用するのがポイントです。ネット証券3社では、加入時の手数料として2,829円、口座維持手数料として積み立ては171円、積み立てを行わない場合は66円に設定されています。また、年間1回のみ拠出する場合は更に手数料を抑えることも可能です。