近年では経済のグローバル化に伴い、日本企業においても海外へ転勤することは珍しいことではなくなりました。ただ、海外転勤するとなると、これまで日本で受けてきた社会保障の対象外となるなど制度も変わり様々な手続きが必要になります。
今回は、海外転勤になった場合、確定拠出年金(iDeCo)は引き続き運用できるのか解説します。
海外転勤で非居住者となった場合は拠出できない
確定拠出年金(iDeCo)を運用しており、会社命令により海外転勤になった場合において、滞在期間が1年未満で住民票を日本においておくのであれば、引き続き毎月掛金を拠出しながら運用することができます。
一方で、海外転勤の期間が1年以上と長く、国際的な取り決めとして1年に183日以上海外に滞在する場合は非居住者となり、毎月拠出して運用を継続することはできません。
ちなみに、日本の非居住者となった場合、国民年金については任意加入となり、加入してもしなくても良くなります。ただし、確定拠出年金(iDeCo)は、非居住者で国民年金に加入していたとしても毎月の拠出はできませんので注意が必要です。
勤務先で厚生年金に加入している場合は非居住者でもiDeCoの拠出は可能
例外として、海外転勤になった場合においても勤務先で引き続き厚生年金に加入する場合は、海外の滞在期間が1年以上になり非居住者となったとしても、毎月拠出して運用することが可能です。
お勤め先の企業によって、厚生年金に引き続き加入するかどうかの扱いは異なり、人によってパターンは異なるかと思いますが、勤務先の会社そのものは変わらず、厚生年金などこれまでの制度も継続して利用可能であれば問題ありません。
一方で、海外の現地法人への出向や派遣などの形で、現地法人に移籍し、現地の制度を利用する場合は、日本の厚生年金には加入しなくなるパターンもありますので、その場合は確定拠出年金(iDeCo)で毎月の拠出はできません。
海外転勤で非居住者となっても運用のみは可能
海外転勤で非居住者となった場合は、原則として毎月拠出しながら運用することはできなくなりますが、その場合は、これまで運用していた確定拠出年金(iDeCo)の金融資産については、現金化する必要はなく、金融資産はそのままで運用のみを行うことができます。
毎月の拠出はできませんが、運用のみが利用できますので、いずれ日本に帰国するなどであれば、帰国後に再度毎月の拠出が可能になります。
海外転勤で運用のみにする場合は、取引を行っているい金融機関に「加入者資格喪失届」を取り寄せて、必要事項を記入して返送します。
一方で、帰国して毎月の拠出を再開する場合は、再度取引している金融機関に連絡して、帰国したので拠出を再開したい旨を連絡し、再度申し込むことになります。