2017年1月より確定拠出年金の加入対象者が広がりました。毎月一定額を積立て行くことで老後の資産形成ができますが、何かしらの事情で収入が減少するなどして毎月の積立が難しくなることも考えられます。
今回は、確定拠出年金(iDeCo)は途中でやめる(中途解約)が出来るのか解説します。
確定拠出年金(iDeCo)は原則として途中でやめることはできない
結論からお伝えすると、確定拠出年金(iDeCo)は運用を始めた後は、途中でやめることや中途解約を行うことはできません。
そのため、一度始めたら60歳になるまで、運用を継続する意思を固めてから始める必要があります。ただし、後述していますが、毎月の積立(拠出)の停止や、積立額(掛け金)の金額変更は可能です。また、東日本大震災といった大規模な自然災害に見舞われた場合や運用者の死亡など例外が発生し政府が特別に認めた場合は途中で運用をやめることが可能です。
収入減少などで運用が難しくなった場合は積立停止や積立額の変更が可能
確定拠出年金(iDeCo)は、原則として中途解約はできませんが、収入減少などで毎月の運用が難しくなった場合は、一時的に積立を停止して運用のみを行うことや、毎月の積立額の変更が可能です。
例えば、病気や失業などで働くことが難しくなった場合において、毎月の積立を行う余裕がなくなった場合、一時的に積立を停止することができます。その場合は、取引をしている金融機関に連絡して「加入者資格喪失届」を取り寄せ、必要事項を記入して提出する必要があります。積立を再開する場合は、再度金融機関に連絡して再度加入手続きが必要となります。
また、毎月の積立額を変更する場合は、「加入者掛金額変更届」を取り寄せて、必要事項を記入して提出します。
確定拠出年金(iDeCo)は毎月最低5,000円から運用が可能で、最低5,000円までであれば積立額を下げることができます。
確定拠出年金(iDeCo)は、原則として60歳まで引き出すことができませんので、ご自身の収入に見合った無理のない範囲で金額を設定するとともに、生活状況などを加味して将来的に資金を多く使う可能性が高い若い方は、無理して大きな金額を積み立てるのはおすすめできません。
死亡や障害状態となったな場合はやめることが出来る
一方で、運用者本人が死亡したり、事故や病気などで障害状態となった場合など、脱退の条件を満たした場合のみやめることができます。
運用者が死亡した場合は、遺族が金融機関に連絡して加入者等死亡届をと寄せて必要事項を記入して提出するとともに、死亡から5年以内に「死亡一時金裁定請求書」に記入して提出すると「死亡一時金」として受け取れます。いずれにしても、金融機関より指示がありますので、その内容に従って必要書類を記入して手続きを行います。また、運用者はご自身が死亡した場合に備えて、両親や配偶者などに確定拠出年金の金融機関の連絡先を伝えておくと良いでしょう。
また、事故や病気で障害状態となった場合も、同様に裁定請求書に必要事項を記入して提出する必要があります。障害状態になった場合は、障害一時金もしくは障害年金として受け取ることになります。こちらも、取引がある金融機関に連絡後、その指示に従って手続きを進めます。
自然災害は特定の要件を満たした場合のみ特別措置で引き出し可能になる場合もある
自然災害の場合は、政府が特別に認めた場合のみ引き出すことができ、自然災害であっても原則として引き出すことはできません。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の時は、政府が規制緩和の特別措置が行われ、住居と仕事を失い、運用資産額が100万円以下の方を対象に引き出すことが認められました。
ただ、今後将来的に東日本大震災規模の自然災害の場合であっても誰でも引き出せるわけではなく、その条件は厳しくなることは大いに予想できます。
確定拠出年金は預貯金ではなく、あくまでも年金制度であるため、老後になる前までに安易に引き出すことができれば、老後の資産形成が難しくなってしまいます。そのため、日本に住んでいれば自然災害のリスクに備えるのは当然であり、確定拠出年金(iDeCo)とは別に、非常用に預貯金を手元に一定額確保しておくことが重要です。