株式投資では、ご自身が購入した時の株価より評価額が下回ったことで評価損を出してしまうことがありますが、長期投資を目的に購入した株は評価損が出た場合、損切りすべきなのか迷う方も多いかと思います。今回は長期投資における損切りの考え方について解説します。
損切りとは何か?
投資の世界では、損切りの重要性が叫ばれいます。損切りは株式投資などご自身が購入したときの価格から評価額が下回ってしまい、これ以上の損失を防ぐ目的で損失が発生している状態で売却することで損失を確定することです。
損切りを行うことで、株価が右肩下がりの場合は損切りを行ったほうが損失が膨らまずに済みます。また、損失が発生している状態から開放されることで精神的に楽になる他、次の投資案件にその資金を振り向けて利益を狙うことができますので、資金効率が高まるメリットがあります。
ただし、損切りが多く続くことで、逆に資金を減らしてしまうことになるほか、証券会社など金融機関へ支払う取引手数料を無駄に多く支払う事になってしまいます。
もちろん、短期的に売買を行うのであれば、資金効率を考えると評価損が出た場合は損切りを徹底したほうが良い場合もあります。ただし、長期投資の場合は単純に評価損が出たからといって損切りを行うのは早業で、投資の目的を再度振り返ってしっかりと考える必要があります。
長期投資では株価より投資先の業績や将来性を見据えること
長期投資の場合、基本的に目先の株価の推移ではなく、企業の業績や事業による将来性に注目して投資を行います。そのため、単純に株価が下がったという理由で損切りするものではありません。
株価が下がっても業績が好調である、将来的に有望な事業や投資を継続的に行っており将来的に事業からの収益が拡大できそうな場合は、目先の株価にとらわれる異なるじっくりを腰を据えて運用していくべきであると考えています。
そのため、長期投資を行う場合は、投資を行う前にしっかりと対象の企業を調査した上で、その投資に対して明確な自身を持った上で判断する必要があります。経営状況や財務状況だけではなく、対象の企業の製品やサービスを利用してみることや従業員の働きぶりはどうなのかといった視点で総合的に調査を行う必要があると考えます。
単純に株価が下がった、株式市場全体が暴落して大きな評価損が出た場合でも、前述した調査を十分に行っていれば基本的に損切りは必要ないと考えます。
投資先企業に対する悪材料や期待した投資目的が実現できない場合は損切りする
長期投資では目先の株価に左右されて損切りはすべきではないとお伝えしましたが、投資先の企業に対する悪材料が出たことで、本来の投資目的が実現できないと判断した場合はすばやく損切りすべきであると言えます。
例えば、企業業績が急激に悪化した場合の他、対象企業が提供している製品やサービスで大きな不具合や事故などが生じて今後の業績に影響を与えると判断した場合、また、企業や経営者の不祥事が合った場合など、長期投資を行う目的を果たすことは難しくなりますので損切りを行います。
2018年は、多くの企業における不祥事や経営者の不祥事が相次いで報道されましたが、このような状況になった場合は損切りをすべき理由に該当します。
こういった企業に投資しないためにも、前述した通り十分な企業調査が必要となります。また、コーポレート・ガバナンス(企業統治)のあり方をしっかりと確認することや経営者の生活ぶりや行動ぶりなどをしっかりと監視しておくことが重要です。