株式投資の楽しみとして株主優待制度があります。株式投資を始める理由として優待を受け取りたいという動機も多いですが、今回は株主優待制度は具体的にどのような制度か、全ての企業で導入しているのか、何が受け取れるのかといった制度概要を解説します。
株主優待制度とは自社商品などを株主に還元する制度
株式を保有するメリットとして株価の値上がりのほか、日本の個人投資家の間で人気な「株主優待」があります。株主優待とは、企業が株主に対して、日頃の感謝の気持ちを込めて自社製品や割引券を送付することで、株主に還元を行う制度です。
株主優待は日本独自の制度で、海外の企業では、基本的に配当で還元することが一般的となっていますが、日本人の多くは、お中元やお歳暮をはじめ贈り物を贈る文化が根強いため、このような制度が根付いている要因となっています。
また、株主優待と関連して、近年では「ふるさと納税」も多くの日本人の間で人気が上昇しているのも文化的な背景がありそうです。
株主優待制度は上場企業の40%が実施
株主優待制度導入企業数推移(筆者作成)
日本の上場企業で導入されている株主優待制度ですが、実は上場企業の約40%程度の企業が実施しており、多くの企業が同制度を導入しています。
上場企業数は約4000社ありますが、その約1500社が株主優待制度を導入していることになります。
近年では、政策保有株式の削減など安定的な株主が不在になる状況が広がっていることなどから、個人を安定株主としての受け皿としたい企業が、株主優待制度を導入する例も広がっています。
これまでは、一般消費者に事業展開をしている企業の多くが優待制度を導入していましたが、企業間事業(BtoB)を行っている企業でも導入が目立ってきています。
株主優待制度で提供している商品は食料品が1位
相鉄ホールディングスの株主優待乗車証
株主優待制度で提供している優待内容としては、大和インベスター・リレーションズの調査によれば、食料品を650社導入しており、食料品が一番多い状況となっています。
2番目に多い優待内容としては、クオカードや商品券、割引券といった金券で導入企業数は535社あるとしています。
前述したとおり、企業間で事業を行っている企業も優待を導入する動きが広がっていますが、自社製品が提供できない企業においては金券を提供する動きが目立っています。
株主優待は海外の企業では殆ど実施していない
一方で、海外に目を向けると、株主優待制度は一部の企業を除いて実施していないのが現状です。
基本的に株主への還元は配当金として現金で還元することが一般的であり、日本とは異なり、株主還元を行う資金があれば、それを配当金として受領したいと考える方も多いです。
また、株式を保有しているのは個人だけではなく、機関投資家なども多いため、個人のみが恩恵を受けられる場合、不公平が生じるという問題もあります。