将来の資産形成に向けて株式投資を行う場合、中長期で投資できる銘柄を見つけることが重要です。今回は株式投資を中長期で行う上で銘柄を選ぶポイントを紹介していきます。
名が知れた大手企業が有望な投資先であるとは限らない
はじめに、これまで株式投資の経験がなくはじめて株式投資を行ってみたいと考えた場合、多くの方が大手で有名な企業に投資する傾向にあります。筆者も株式投資を始めた頃は同じでしたが、これまでの経験上、大手企業や有名企業が有望な投資先であるとは限らないということです。
名が知れた大手企業は、個人だけではなく、大半は国内外の機関投資家などが日々売買しています。そのため、多くの人が株式の取引が多く流動性が高い点があり、それがメリットでもありデメリットでもあります。
流動性が高いため、買いたいと思ったときにすぐ買える利点がありますが、株式市場で景気にマイナスなニュースが流れると機関投資家などはすぐ保有数を下げる傾向にありますので、株価が大きく変動して下がる傾向があり、初心者であれば既に高値づかみとなっているケースも多いです。
そのため、名が知れた大手企業に投資するのも良いですが、大手企業にポートフォリオを集中させてしまうと相場の影響を強く受けることになってしまいます。
競合が少なくニッチな分野において事業展開を行っている
株式投資で中長期で投資できる銘柄を選定するポイントとしては、競合が少なくニッチな分野で事業展開している企業を探すことです。
競合が少なくニッチな事業を展開しているということは、このニッチな分野において需要がある限り、売上と利益とともに安定してきます。そのため、価格競争によって収益が減ってしまうというリスクも全くゼロではありませんが、低くなります。
ニッチな事業を展開している企業は、世間的に知名度は高くなくても経営が安定しており財務体質も良好な企業が多く、中長期で安心して保有しやすいといえます。そのため、株式投資を行う場合は、自分が知っている企業だけではなく、視野を広げて投資先を見つけていく必要があると言えます。
自己資本利益率(ROE)と営業利益率が高い企業
株式投資では、株価の上昇によるキャピタルゲインと、配当金の受領によるインカムゲインの両方が得られる投資ですが、これらの収益を長きに渡って得るためにも「自己資本利益率(ROE)」と「営業利益率」が高い企業に投資すべきであると言えます。
自己資本利益率(ROE)は、Return On Equityの略で、投資家から預かった資金でどれだけ利益を上げたかを示す指標です。投資してからどれだけ効率的に収益を上げたかを見ることができます。ただし、日本企業の場合はROEが低い傾向が高く、今後はより積極的に株主のために利益を出していくことが求められます。
日本におけるROEは約8%前後ですが、数値が高ければ高いほど株主のために効率よく利益を上げているといえます。株式投資を行うにあたり目安として10%前後で銘柄を選定すると良いでしょう。
また、営業利益率は、売上高に対してどれだけ本業で稼いだ利益が得られたかを示したものです。つまり、本業でどれだけ利益をあげられているのかを示したものです。利益率が高いことは、1株あたりの純利益の拡大にもつながり、将来的に株価はそれにわせて上昇することが期待できます。
不景気でも耐えうる財務体質を維持している企業
不景気や急激な売上減少などでも耐えうる財務体質であることも重要です。現状として売上と利益が順調に伸びていても、これが将来に渡って伸び続けることは保証されていません。
企業の財務体質の良し悪しを調べる方法として、日経会社情報や四季報、決算報告書などに記載されている「自己資本比率」をチェックします。自己資本比率は30%以上を目安とします。
自己資本比率は、企業が持っている「総資産」から返済など出ていくお金である「負債」を差し引いて、手元に残る「自己資本」の割合を示したものです。自己資本比率が高ければ高いほど財務体質は良好であるといえます。
ただし、自己資本比率が高いが、株主への還元が消極的であったり、事業成長に向けた投資が乏しい場合は、無駄にお金を貯め込んでいる企業であると判断でき、投資しても大きなリターンは期待できないと言えます。
財務体質の詳細を知るには賃借対照表を活用することをおすすめします。賃借対照表については以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
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