確定拠出年金(iDeCo)は、既存の年金制度に上乗せして老後資金を運用する制度ですが、2017年1月より確定拠出年金制度が無い会社員や自営業者など加入対象者が広がりました。
2018年5月8日の記事で、確定拠出年金(iDeCo)のメリットについて記載しましたが、今回は確定拠出年金(iDeCo)のデメリットについて見ていきます。
確定拠出年金(iDeCo)とは?
確定拠出年金(iDeCo)とは、冒頭でも紹介している通り、既存の年金制度に上乗せして老後資金を運用するための制度です。
既存の公的年金制度は、第1段階として国民年金(基礎年金)、第二段階として厚生年金がありますが、確定拠出年金(iDeCo)は、第一段階と第二段階に上乗せした第三段階の年金制度となります。
確定拠出年金(iDeCo)では、国民年金に加入していれば多くの方が加入できますが、職業など現在加入している年金によって毎月拠出できる金額が異なります。例えば、会社員であれば国民年金と厚生年金に加入していますが、確定拠出年金(iDeCo)での毎月の拠出金額は2万3,000円までとなります。一方、国民年金のみ加入している自営業者であれば毎月6万8,000円まで拠出できます。
確定拠出年金制度についての詳細は、以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
確定拠出年金(iDeCo)には、既存年金に上乗せして将来的に受け取れる金額が手厚くなる他、拠出中においても所得控除や運用益が非課税になるなど税優遇制度が受けられる、運用成績が良ければ多くのリターンが得られる、老後資金が確実に受け取れるメリットがあります。
その一方で、確定拠出年金(iDeCo)はデメリットもありますので、運用を検討している方は、これから紹介するデメリットを事前に確認しておきしっかりと認識した上で運用を行うことが重要です。
60歳になるまで引き出すことが出来ない
確定拠出年金(iDeCo)の最大のデメリットとしては、年齢が60歳になるまで引き出すことが出来ない点です。
確定拠出年金制度は、あくまでも年金制度となり老後資金を運用する目的で導入されたものになりますのでこれは致し方ないところではあります。
そのため、中長期の投資として運用したい場合は不向きとなります。中長期の投資を行う場合は確定拠出年金ではなく、少額投資非課税制度(NISA)の活用がおすすめです。
また、60歳まで引き出すことができませんので、若い方で拠出額が多すぎると、途中何かしらのライフイベントや病気などでまとまった現金が必要になった場合、困ることになりますので、若い世代であれば拠出額は少額で設定することがおすすめです。
手数料が発生する
確定拠出年金(iDeCo)は、運用するにあたり、加入時や運用時に手数料を支払う必要があります。
加入時や移換時には、確定拠出年金(iDeCo)の運営母体である国民年金基金連合に2,829円の加入時・移換時手数料を支払う必要があります。また、申し込みを行う金融機関によっては、独自に加入時の手数料を徴収する場合があります。
また、運用中においては国民年金基金連合や金融機関、事務手続きを委託している信託銀行に対して「口座管理手数料」と、投資信託で運用している場合は運用会社に対して「信託報酬」の支払いが必要となります。毎月支払う手数料は金融機関によっても異なりますが数百円程度となります。
また、老後になって年金として受け取る場合も1回あたり440円の給付事務手数料が必要になります。
確定拠出年金(iDeCo)で必要となる手数料については以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)サービスを詳しく見る
申し込み手続きが少し面倒
確定拠出年金(iDeCo)に申し込む段階での話ですが、実際に申し込みを行うと手続きが少し面倒な点があります。
SBI証券などネット証券を活用した場合でも、インターネットで申し込みは完結せず、必ず運営母体の国民年金基金連合に提出する書類を証券会社などの金融機関より受け取って必要事項を記入して返送する必要があります。
また、会社員など厚生年金加入者あれば、勤務先での年金加入情報を確認するために、勤務先に記入してもうら箇所もあります。
また、記入漏れや記入ミスがあると、書類が返送され必要箇所を修正して再提出を行う必要がありますので注意が必要です。
以下の記事で、実際にSBI証券で確定拠出年金(iDeCo)を申し込んだときの手順を解説していますので合わせてご覧ください。
SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)サービスを詳しく見る
運用中に転職などが発生した場合の手続きが面倒
個人向けの確定拠出年金(iDeCo)で運用している間に、転職を行った場合、転職先の企業に企業型の確定拠出年金制度がある場合や、厚生年金基金が用意されている場合の手続きが面倒な点があります。
転職先に企業向け確定拠出年金制度がなければ、そのまま継続して個人向け確定拠出年金制度で運用できますが、転職先に企業型確定拠出年金制度がある場合は6ヶ月以内に手続きが必要となります。
また、厚生年金基金がある場合、こちらは確定拠出年金制度と同様に第三段階の運用となりますので、追加での運用は行えず、これまで拠出した金額の範囲内のみで運用を継続することになります。
ただ、2018年5月より確定拠出年金制度が一部改定され、転職時にも手続きが不要で、運用商品をそのまま移管して運用可能となっています。