日本では長年、将来に向けて貯蓄(貯金)で資産運用を行うことが一般的に行われており、家計の金融資産は現預金に偏っていることが課題となっています。近年では「貯蓄から投資」と叫ばれている状況の中、改めて貯蓄と投資の違いについて考えてみました。
何故貯蓄から投資の重要性が叫ばれているのか?
我が国、日本においては長年貯蓄が将来的な資産運用手段として用いられていました。我々が子供時代はお年玉などのお小遣いをもらったら郵便貯金に預けていた方も多いかと思いますが、子供時代からのこのような習慣が一般的な運用方法として教えられていることも日本人が現預金に資産が偏っている原因の一つでもあると考えています。
郵便貯金は、今は民営化していますが元々国営だったこともあり、一般国民に郵便貯金を活用してもらうことで、間接的に国債を購入してもらうという狙いがありました。ただ、近年では日本もバブルが崩壊し、長期にわたる不景気の時代に突入する中で金利が下落し、株価も低迷する中で、日本では効率的に資産を増やすことが難しい状況が続いていたことも現預金を保有することで守りに入るというスタンスを維持してきたようにも思えます。
2012年に安倍政権が発足し、日本もデフレを脱却し経済成長に向けて再挑戦を行わなければならない中、日銀の黒田総裁は物価2%を目標に取り組みを始めます。そのため、物価が高くなる状況においては、現預金に偏っていてはお金の価値が下がることになります。
そのため、政府は一般国民に対して投資を促すために、税優遇制度である少額投資非課税制度(NISA)や確定拠出年金(iDeCo)を開始し、投資を気軽に行える環境を提供し、物価高に耐える資産構築をサポートするとともに、少子高齢化により年金運用が厳しくなる中で国民自身での運用に転換する狙いがります。
また、マネーを株式などに振り向けることで、国内の企業が事業活動に向けて積極的に取り組める環境を構築すると共に、資金循環を活発にし経済成長を加速させていく狙いもあります。
貯蓄はすぐに現金として引き出せる状態
これまで、我々日本人が主力としていた資産運用手段である貯蓄は、ご存知の通り、銀行などに現金をそのまま預けておくことで、すぐに現金として引き出せる状態のことを言います。
ちなみに、貯蓄に似た言葉として貯金がありますが、両者の正確な違いとしては、銀行に現預金を預けることを「貯蓄」と呼び、郵便局(ゆうちょ銀行)に現預金を預けることを「貯金」と言います。
日本も過去、金利が高い状況があったことで、銀行などに預けることでそれなりの利息が支払われていましたが、近年では2016年2月に日銀が実施したマイナス金利政策により、殆ど金利は期待できません。
貯蓄の場合は、預けたお金そのものは何かしらの取引をしない限り、その金額をそのまま維持することができますので、安全に保管できるメリットがあります。
投資は価値があるものに資金を投じリターンを得ること
投資は、何かしらの価値があるもの、もしくは、将来的に価値が向上するであることが見込めるものに対して、資金を投じ、将来的にリターンを得ることを言います。
金融商品であれば、株式や債券、投資信託などの有価証券を購入する方法があります。例えば、株式であれば、企業に投資することになりますので事業活動を通じて将来的に事業成長し多くの収益が見込めると判断できる場合、対象の株を購入することで株価が上昇することで値上がり益が得られる他、利益を分配する配当金が得られます。
一方で、将来的に価値が高まりリターンが得られるというのは、あくまでも将来に対する期待であり必ずしもその期待どおりになるとは限りません。そのため、価値が下落するような出来事起きれば、損失が発生するなどリスクも高いことになります。
ちなみに、投資に似たこととして「投機」がありますが、投機は目先の価格推移を利用して目先の差益を狙うものになり、将来的な価値を判断してお金を投じる投資とは異なります。
貯蓄と投資はバランスよく運用することが重要
貯蓄から投資へのキーワードの通り、投資の重要性が叫ばれていますが、手持ちの資金を全て投資に振り向けろという意味ではありませんので注意が必要です。
当サイトは資産運用のサイトではありませんので詳しいポートフォリオの構築方法については割愛しますが、直近ですぐに現金が必要になった場合を備えて、貯蓄としてある程度の現預金は保持しておき、長期的に使用予定がなく価格変動があってもご自身の生活に支障が無いお金を投資に振り向けることが重要です。