上場企業の株を持っていると株主総会の招集通知が届くことがあります。そもそも、株主総会とは何をしている会議なのかと疑問に思われている方も多いかと思います。今回は、投資家の視点にたって株主総会とはどういった会議なのかを解説します。
株式会社の今後の方向性を決めるための重要な会議
株主総会とは、株式を発行している企業が、今後の経営に対する方向性を決めるための重要な会議です。
株式会社は企業経営をしていくために、株式を発行することで、その株式と引き換えに資金を提供することで株主になります。株主になると企業の経営権と受益権が得られます。
企業が今後の経営において、何かしらの決定事項を決める場合は、企業が勝手に決めて事をすすめるのではなく、最終的に株主総会を開催して、株主の同意を得た上で行うことになります。
株主総会は上場企業だけではなく、非上場企業、中小企業でも規模の違いはありますが、必ず毎年1回は開催されています。
定時株主総会と臨時株主総会
株主総会には、主に定時株主総会と臨時株主総会の2つがあります。
定時株主総会
定時株主総会は、毎年度が終了後、年に1回定期的に開催されれる株主総会です。日本の企業は毎年3月決算を採用している企業が多く、3月以降に株主総会を開催する企業が多いです。
株主総会は、株式会社が任意で開催するものではなく会社法によって毎年開催することが義務付けられており、決算を終えて3ヶ月以内に開催する必要があります。そのため、日本の企業では6月に株主総会を開催する企業が多くなるのも理由の一つです。
ただ、複数の企業の株式を保有していると、株主総会の日が重なってしまうことも珍しくなく、可能な限り分散した開催が望まれます。
臨時株主総会
一方で、臨時株主総会は、株式会社が緊急で何かしらの決議事項が生じた場合など必要に応じて開催される株主総会です。例えば、吸収合併といった、突発的に生じた決定事項に対して、株主にその趣旨を説明し同意を得てもらいます。
日本電信電話株式会社の株主総会招集通知と議決権行使書(筆者撮影)
株主総会を開催する場合、開催日の2週間前までに招集通知が郵送されます。そこに同梱されている案内と議決権行使書を開催日当日に持参して参加を行います。
株主総会における決議事項
株主総会では、今後の経営における決議事項を決めるものですが、大まかに説明すると「企業の役員の選任や解任」、「余剰金の配当額」、「役員報酬」、「吸収合併」、「事業譲渡」、「解散」があります。
毎年1回開催される定時株主総会では、「企業の役員の選任や解任」と「余剰金の配当額」、「役員報酬」が主な決議事項となります。
一方で、臨時株主総会では、「企業の吸収合併」、「事業譲渡」、「解散」といった決議事項である場合が多いです。
決議事項は、資本多数で決まり、保有している株式数が多ければ多いほどその影響力は強まります。これまでの、日本の企業では、株式の持ち合いが多いこともあり、株主総会において企業の思惑通りに決議事項が採決されることが多かったですが、近年では、外国人投資家の進出や物言う株主(アクティビスト)が台頭し、コーポレート・ガバナンスの向上を求めて、役員の選任や解任、余剰金の配当額、役員報酬などに対して賛否基準が厳しくなりつあります。
議決権の行使方法
議決権を行使する場合、当日株主総会に出席して行使を行います。ただ、当日、他のスケジュールと重なって参加できない、遠方のため参加が難しいこともあります。参加ができない場合は、「郵送による書面による投票」、「インターネットを使った電子投票」、「代理人による行使」が可能です。
郵送で行使する場合は、招集通知に同梱されている議決権行使書に賛否を記入して返送を行います。インターネットの場合は、議決権行使書または開催案内に記載されている指定のURLにアクセスして投票を行います。
代理人による行使の場合は、対象の企業の株主である者を代理人に指定して株主総会当日に行使します。株主でない家族や知人に代理で行使することはできませんので注意が必要です。ただ、企業によっては代理人による行使を受け付けていない場合もあります。