2017年1月より老後の資金を運用する制度として加入対象者が広がった確定拠出年金(iDeCo)では、従来の公的年金制度に上乗せすることにより、老後に受け取れる年金を運用成果に基づいて手厚くすることができます。
一方で、確定拠出年金(iDeCo)に似た制度として、確定給付企業年金という制度があります。今回はこの2つの制度の違いについて解説します。
確定拠出年金(iDeCo)と確定給付企業年金は公的年金制度に上乗せした制度
日本における公的年金制度は、2018年2月26日に記載した確定拠出年金制度概要でもお伝えしていますが主に3段階で構成されています。
第一段階として国民年金(基礎年金)、第二段階として厚生年金と国民年金基金、第三段階として、今回説明する確定拠出年金(iDeCo)と確定給付企業年金、厚生年金基金があります。
通常の会社員であれば、国民年金と厚生年金に加入することになります。自営業などでは国民年金の他、第二段階として任意で国民年金基金に加入することができます。
これに更に上乗せして老後資金を確保したい場合は、個人が運用商品を自ら選んで運用する確定拠出年金(iDeCo)や、企業が従業員に代わって、従業員の老後資金を運用する確定給付企業年金を利用します。
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確定拠出年金(iDeCo)は運用実績によって受取額が変わる
これまでの確定拠出年金制度は、企業が福利厚生制度として提供している「企業型確定拠出年金」が一般的に利用されていました。個人が運用商品を選び、選んだ運用商品を従業員に代わって企業が委託した運用管理機関が老後資金の運用を行います。
政府は既存の公的年金制度では国民の十分な老後資金の運用に限界があることから、確定拠出年金の加入対象者を確定拠出年金制度が導入されていない会社員や公務員、自営業などに広げるべく、2017年1月より個人向けの確定拠出年金制度「個人型確定拠出年金」をスタートしました。個人型確定拠出年金制度は、個人で金融機関に申し込みを行い、金融機関が用意した運用商品を選んで運用します。
確定拠出年金は、運用者が選んだ投資商品は、ご自身の責任に基づいて運用を行う必要があります。そのため、将来的に受け取れる金額も運用実績によって変わってくると言えます。
個人型確定拠出年金と企業型確定給付企業年金制度の詳細な違いを知りたい方は、以下のページにて詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
確定給付企業年金は企業が支給額を約束
確定給付企業年金は、企業が従業員に代わって老後の資金を運用を行う制度で、あらかじめ企業が支給額を約束している特徴があります。
確定拠出年金(iDeCo)とは異なり、運用者が自ら運用商品を選んで運用を行うのではなく、企業が従業員に代わって、一括して貯蓄をしているイメージに近いと言えます。そのため、プラン変更や運用商品の変更はできず、従業員個別の残高を把握することが難しいのが特徴です。
支給額は約束はされているものの、企業の業績に影響を受けやすく、業績が低下した場合は十分な運用が困難となり、将来的に受け取れる支給額が減額される可能性もあります。さらに、最悪の場合、確定給付企業年金を解散して、これまで保有していた金融資産を一時金として給付して終了となる場合もあります。
確定給付企業年金は、将来受け取れる支給額は約束されていることから安心感があるメリットはありますが、企業の業績に影響される点を理解しておく必要があります。