ビットコインなどの仮想通貨の値上がりで、多くの値上がり益を得た方も多いかと思います。ただし、値上がり益を得た場合、法律に基づいて確定申告を行い、必要にお応じて税金を支払う必要があります。
ただし、これまで確定申告をしたことが無く、ご自身で税金の支払い手続きをしたことが無い方にとっては、わからない点も多いかと思います。そんな方に、仮想通貨で値上がり益を得た場合における税金の仕組みについて解説します。
仮想通貨での値上がり益は雑所得に該当
ビットコイン等の多くの仮想通貨での売買で値上がり益を得た場合、雑所得に該当し課税対象となります。国税庁は、2017年9月11日に仮想通貨の売買によって利益が生じた場合は「雑所得」に該当する見解をまとめており、税務上の取り扱いを明確にすることで、税逃れを防止する処置を講じています。
仮想通貨の売買によって得た利益は雑所得となりますが、これは、外国為替証拠金取引(FX)や先物取引と同様です。ただし、後述する税率は、FXや先物取引の20.315%ではなく、所得金額に応じて税率が異なります。
一方で、株式や上場投資信託(ETF)の売買によって利益が得た場合は譲渡所得に該当します。株式やETFの場合は、証券取引所で売買されており、オークション方式が取られていることから、売却した場合、対象の株式もしくはETFは、次に買い注文を入れている人の手に渡ることから、譲渡所得が適用されています。
仮想通貨は他の所得と合算後、所得金額に応じて5~45%の税率が適用
仮想通貨の売買で利益が得た場合、雑所得として課税される税率は、所得金額に応じて5~45%が適用されます。
FXや先物は申告分離課税で所得税と地方税を含め20.315%課税されますが、仮想通貨は総合課税となり、他の所得と合算して課税されます。
そのため、仮想通貨の利益の他、給与収入や事業収入をあわせて金額に対して、5~45%の税率が適用されます。所得金額毎における適用税率については、国税庁のホームページ「No.2260 所得税の税率」をご参照ください。
仮想通貨は原則として損益通算が不可能
仮想通貨の売買によって、確定申告を行う場合に気をつけたいのが損益通算ができないという点に注意が必要です。
FXや先物取引の場合は、原則として他の所得との損益通算はできませんが、FXや先物取引内における損益通算は認められています。また、株式やETF、公社債の場合は、過去3年間を遡って損益通算ができる他、配当所得に対しても申告分離課税を適用していれば、損益通算が可能です。
株式についての税金のしくみについては、2018年2月19日の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
仮想通貨では、損益通算の仕組みがありませんので、前年度損失が出た場合でも翌年に利益が出た場合は、翌年分の利益と他の所得金額に応じて所得税を支払う必要がありますので注意が必要です。ただし、同一年において損益通算を行うことは可能です。
会社員であれば20万円以上の利益が出た場合は確定申告が必要
これまで確定申告をしたことが無い会社員の方でも、仮想通貨の売買によって年間20万円以上の利益が得られた場合は、原則として確定申告を行い、給与所得と合算して、所得金額に応じた税金を支払う必要があります。
会社員における、給与所得については年末に年末調整を行うことで、これまで支払った生命保険料などから控除金額を算出することで、収める税額を調整しています。ただし、仮想通貨の利益を含め、雑所得については年末調整では対応できませんので、ご自身で税務署に出向いて確定申告の手続きが必要です。
また、国税庁ではインターネットで確定申告の手続きができる「確定申告書作成コーナー」を用意していますので、そちらを活用することで、自宅で確定申告書の作成が可能です。作成した確定申告書は、印刷して最寄りの税務署に郵送もしくは、マイナンバーカードを利用してe-TAX送信が利用できます。
損益はご自身で計算して申告する必要がある
仮想通貨の利益を計算する場合、現状としてはご自身で仮想通貨取引所の取引履歴を参照して、ご自身で計算する必要があります。
株式や上場投資信託(ETF)の場合は、証券会社で特定口座を利用している場合は、証券会社が年間取引報告書を作成してくれますので、そこに記載されている数字を参考に確定申告書を作成することになります。
ただし、仮想通貨の場合は、年間取引報告書に該当する書類を取引所が作成してくれるわけではありませんので、ご自身で取引履歴を、Excelなどを使って手元に管理しておくこと良いでしょう。ただし、仮想通貨取引所によってはExcelなどにダウンロードできるオプションを用意している場合もあります。