株式や投資信託などで資産運用を行う場合、証券会社など金融機関を通じて運用を行います。一方で、運用中に証券会社が倒産した場合はどうなるのか気になります。今回は証券会社が倒産した場合、預けている金融資産はどうなるのかを過去の事例とともに見ていきたいと思います。
過去の証券会社の倒産事例
日本では、残念ながら過去に証券会社や銀行の倒産事例は多くあります。特に、1989年のバブル崩壊以降経営に行き詰まり多くの金融機関が倒産しました。
証券会社で有名なのは、1996年に倒産した「山一証券」です。山一証券は、野村證券や大和証券、日興証券(現:SMBC日興証券)と並び4大証券会社と言われていましたが、不正会計により1997年11月24日に自主廃業しています。
銀行の事例では、北海道拓殖銀行が1997年に経営破綻、日本長期信用銀行が1998年に一時国有化され米国の再生ファンド「ファンドリップルウッド」により、2000年6月より「新生銀行」と商号を変更して現在に至っています。
また、同年に日本債券信用銀行も一時国有化された後、2000年にソフトバンク、オリックス、東京海上火災保険(現:東京海上日動火災保険)で結成された投資ファンドに売却され、2001年に「あおぞら銀行」として商号を変更し現在に至っています。
顧客の資産は証券会社の財産とは別に管理されている
日本では、山一証券を筆頭に多くの証券会社や金融機関が破綻した事例がありますが、証券会社は顧客から預かった株式や債券などの有価証券、現金などは、証券会社とは別に管理するように、金融商品取引法で厳しく規定されています。
投資信託については、2018年1月2日の記事で記載している通り、証券会社はあくまでも販売代理店としての役割であり、顧客の資産を預かっているのは信託銀行になります。そのため、信託銀行が自行の資産と分けて、顧客の資産を管理しています。
一方、近年話題となっているロボアドバイザーについても同様に、自社の資産と顧客から預かった資産は分けて管理されています。
そのため、万が一証券会社が破綻した場合でも、顧客から預かった資産について「ゼロ」にはならず、資産への影響はないと言えます。
https://kabutoshimichi.com/2018/11/23/roboad-bankrupt/
日本投資者保護基金により1,000万円まで保証される
証券会社が破綻した場合において、万が一、顧客が預かった資産が返還されないといった事態が発生した場合、顧客と証券会社との間で円滑な返還手続きが困難と判断された場合においては、「日本投資者保護基金」により1顧客あたり1,000万円まで保証されます。
全ての証券会社は「日本投資者保護基金」への加入が義務付けられています。そのため、資産の分別管理と投資者保護基金によって、顧客から預かった資産を二重に保護する仕組みが構築されています。
ただし、投資者保護基金で保証される資産は、国内と海外で発行された「株式」と「債券」、「投資信託」、「現金」となっています。「外国為替証拠金取引(FX)」や「CFD取引」、「先物」など店頭デリバティブ取引については、保証の対象外となっていますので注意が必要です。